実際のところ、誰しも生きていれば多かれ少なかれ凪のような経験をしているだろう。一生懸命やっても終わらない仕事、もろいプラスチックのような友情、一生一緒にいられると思ったのに煮え切らない恋人、疲労困憊で帰宅した後にも逃れられない騒々しさ、などなど。
生活のなかで、私たちは家庭や仕事、恋のために、いつもある程度自分は我慢して他人を手助けしてしまうものだ。それが長く続くと、人の顔色をうかがう生存本能が出来上がってしまう。
しかし、つかの間逃げたとして、それで人生をやり直せるのか?
これからの生活計画を立てようとウィッシュリストを作ろうとした凪は、自分がずっと無意識に仕事をし、この問題をしっかり考えてみたことが一度もなかったから、今も本当にやりたいことが思いつかないのだということに気付いてショックを受ける。
ドラマタイトルの「凪のお暇」は実のところ物語の二つの側面を表している。一つは凪の全く新しい生活。そしてもう一つは、凪が仕事を辞めた後の暇な期間に、過去の人生を見つめ始め、自分から変わろうとする姿だ。
物語には、現代の若者の生活状態と生存環境といったテーマも盛り込まれている。登場人物のさまざまな境遇が物語るのは、まさに誰もが生活のなかで繰り返し考えながらも勇気がなくて結論を出せない問題だ。つまり、どう生きていくべきかという問題である。
このドラマは原作である同名人気漫画作品を見事に再現している。キャスティングも成功しており、恋人の慎二役はエランドール賞新人賞を受賞した高橋一生さんが演じ、有能さと腹黒さ、後悔と無援を自在に演じ分けている。ベルリン映画祭最優秀女優賞を受賞した黒木華さんは、仕事を辞める前のヒロインが誰にもノーと言えない居心地の悪い状態を見事に演じ、視聴者の強い共感を呼んでいる。このドラマの今後の見どころは、凪がこの暇な期間に、いかにして過去から残されたさまざまな面倒ごとに対応し、自分を成長させていくかだ。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年8月2日