イノベーション能力強化し世界の工場から脱するには (2)
この3つの連携のまずさを改善するにはどうしたらよいか。馬氏は次のように提案する。中国はこれから科学教育の体制・メカニズムの改革を一層深化させ、大学の発展モデルを加速的に転換し、質を中心とした内生的な発展を推進し、大学のイノベーションの活力を十分に発揮させることが必要だ。
馬氏は次のような例を挙げて説明する。第三世代原子力発電で使用する大型鍛造品は、かつては中国の原発設備製造業にとって喉にささった魚の骨のようなもので、テストを繰り返してもなかなか成功しなかった。上海交通大学の潘健生院士は研究開発の責任を負う上海重型機器廠に自らプロジェクトをかけ合い、「このプロジェクトは課題を達成できなくても、金にならないとしても、やらなければいけないものだ」と力説した。
潘院士が中心となってプロジェクトを展開し、教員10数人がこれに加わり、基礎研究と複数の学科のクロスオーバーの利点が明らかになった。昨年7月には中国独自の知的財産権を備えた第三世代原子力発電の大型鍛造品の研究開発に成功し、同大の科学研究チームも大型鍛造品の製造技術から帰納して基礎理論の問題を導きだし、質の高い一群の学生を育成し、これまでに高水準の論文約100本を発表した。またこうした産学研協力の中から国家重点基礎研究発展計画(973計画)が派生することになった。
馬氏によると、大学の発展モデルを加速的に転換させ、イノベーションが駆動する発展戦略にサービスを提供するために、大学は生産力の発展ニーズに適応しない自らの生産関係を調整する必要があるという。また外部からの支援が、特に政府からの有力な支援が必要だとし、次の5点を提起した。
(1)単一的な科学研究の評価システム、人材評価システム、教員の昇格基準を改善し、大学の論文、特許、プロジェクトに対する数の検査を緩め、イノベーションの質と経済的・社会的効果により注目し、イノベーション人材、重要な成果、重要な貢献を生み出すことにより注目しなければならない。