TPPは米国がアジア・太平洋地域に返り咲き、新たな貿易ルールをうち立てるための重要な布石だ。日本の加盟を積極的に後押しすることも要の一つだ。
日本は経済を好転させることを目的として、米国の後押しに積極的に応え、TPP加盟の姿勢をうち出した。「閉塞状況に陥った」日本経済を救い、「経済全体に積極的な影響を与え」ようとした。ある分析によると、TPP加盟は日本の工業製品の輸出を促進するだけでなく、安価な商品を輸入して日本国内の消費を活性化することにもつながる。さらには、TPPの恩恵は日本の経済構造改革の促進により多く現れるとみられ、日本にとって非常に魅力的であることは間違いない。
だがTPPのハードルは高く、日本は手こずっている。一部のメディアの分析によると、日本の農業に対してTPPの影響は非常に大きく、高額の関税で保護されてきた農業部門は市場が開放されれば壊滅的な被害を被ることになる。しかも難題はこれだけではなく、交渉が本格化すれば、日本政府は各方面の利益集団から次々に攻撃を受けることが予想されるという。
たとえば、日本の金融システムはかなり閉鎖的であり、これまで郵政システムに組み込まれていたゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は、日本でも屈指の規模を誇り、特殊な地位にある。TPP交渉では、当然のことながらゆうちょとかんぽの改革も要求され、日本にとって相当困難な問題であることは確かだ。さらに日本の医療システムも問題を抱える。TPPに基づいて基準を完全に自由化すれば、日本医師会などの既得権益層が大きな損害を被るため、TPP加盟に反対することは明らかだ。
日本の政界にも深刻な隔たりがある。安倍首相が13年2月に米国訪問するにあたり、野党の民主党や日本維新の会がTPPへの交渉参加を求める超党派議員連盟を設立した一方、自民党の議員236人はTPP交渉参加に反対の声を上げた。