日米の金融緩和 金融ナショナリズムは誰に利益をもたらすか (2)
1992年にポンド売りを仕掛け、1997年に東南アジアの通貨を空売りしたソロスファンドはすでに円の大規模な空売りを実施しており、3カ月間で10億ドルの利益をあげた。2012年11月より、ヘッジファンドは密かに株の買い戻しを開始した。12月の衆議院総選挙中、金融緩和を支持していた安倍氏が首相の座に返り咲く可能性が高まるにつれ、投機家は株の買い入れを続け、約10社の大型ヘッジファンドが共同で円売りを実施した。これを受け円は短期間内に、ブルームバーグのモニタリングする10の先進国のうち、値下がり率でトップになった。
ソロスファンドを始めとする世界ヘッジファンドの主な競合相手は、「金融ナショナリズム」の最大の受益者である、日本の輸出企業だ。輸出企業はヘッジファンドのリスクを考慮し、往々にして先物市場でドル売り・円買いを選択しがちだ。円安は貿易会社にとって、商品の輸出による利益の超過分が、すべてヘッジファンドの口座に振り込まれていることを意味する。
本来ならば他者に災いを押し付けるはずの「金融ナショナリズム」は、自分の首を絞める結果がもたらされようとは思わなかった。これは世界ヘッジファンドの新たな成功例、「安倍トレード」となっている。この時に人々が「日本の株価が上昇し、日本企業も利益を受けた」という考えに固執するならば、暗闇に潜む投機家は「すでに日本株を買い入れてある。株価が上昇し、円安になり、大儲けさせてもらった」と微笑みながら語るだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年2月19日