9日、麗都ホテルで、行方不明のMH370便の乗客家族を抱きしめる、マレーシアから来たボランティア。
10日、行方不明者の家族全員にお湯を運ぶボランティア。 マレーシア航空の旅客機が行方不明となる中、乗客の家族の傍らにはボランティアの姿が見られる。焦り、動揺、沈黙の中で、灯りの点けられない部屋、言葉を発する気持ちになれない状況が存在する。はっきりしない現実を前に、家族たちの中にはすでに気持ちが費えてしまった人もいる。現実に向きあえない人や、無理に自分の精神状態を保つ人も少なくない。新京報が伝えた。
旅客機が消息を絶った日、カウンセリング機関の林紫には企業や行方不明者の家族の一部が訪れた。彼らは精神的な災難を避けては通れないことを知っていたのだ。微信(WeChat)を通じて連絡方法を公開した林紫は9日、ボランティア9人を派遣し、行方不明者の家族向けに一対一のカウンセリングを行い、10日にはさらに8人を派遣した。
ボランティアの陳賢さんは、行方不明者の家族の心の安定をすぐに取り戻すのは難しいことに気づいた。陳さんはそれぞれ違う家庭の20代の若者2人のカウンセリングを担当し、家族が滞在する部屋でカウンセリングを行った。部屋はカーテンが閉ざされ、わずかな明かりはテレビで繰り返し放送される不明機のニュースばかりだった。「部屋全体が押しつぶされそうな重苦しい雰囲気だった」と陳さんは語る。
若者の1人は自己紹介の時には落ち着いており、ここ数日よく眠れず、食事も喉を通らないが、高齢の家族を世話するために自分はしっかりしなければと語った。泣きたい時には家族に見つからないように、通路の隅に隠れてこっそりと泣いているという。最初は落ち着いた思考で陳さんに不明機の現状について「どこかに緊急着陸しなければならなくなったのだろう。無事なはずだ」と推測を語っていた彼は、何度も「はず」という言葉を繰り返し、希望を捨てていなかった。
航空会社の対応と、不明機に関するメディアの錯綜した報道に話が及ぶと、若者は突然頭を上げると陳さんを睨み、声が大きくなり、動揺し始めた。若者が築こうとつとめてきた心の安定が「確認できない」という回答やメディアの不正確な情報によって少しずつ崩されていくのを陳さんは感じたという。その後の1時間、若者はもはや何も語らず、ぼんやりとテレビを眺めてはため息をついていた。部屋は恐ろしい沈黙に包まれた。(編集YH)
「人民網日本語版」2014年3月11日
<特集>マレーシア航空機不明 中国人154人搭乗