「週刊!深読み『ニッポン』」
1月19日に行われた沖縄県名護市長選挙に、日本中のメディアの注目が集まった。日本には695の市があり、毎週のようにどこかしらで市長選挙が行われているが、この首都から遠く離れた、人口約6万人の都市の市長選挙がなぜこれほどまでに注目を集めたのだろう?その理由は、この選挙が、安倍政権の内政および外交方針に関わり、米国および沖縄県に対する日本の日米安保政策上の承諾に関わり、さらには安倍政権に対する国民の政治的信頼に関わるためだ。東京の自由民主党本部と安倍政権は、初めから「必勝の決意」でこの選挙戦に臨んできた。(文:趙剛・中国社会科学院日本研究所日本問題専門家)
▽積極的平和外交と基地問題
2012年12月26日に発足した第2次安倍内閣は、政治面では「憲法改正と積極的平和外交の推進」を主要目標に掲げていた。安倍内閣は鳩山内閣の教訓を活かし、米国と良好な外交関係を保つことを最重要テーマとした。普天間基地移設問題で米国をいかに「満足させるか」は、その重要な一歩となる。
安倍首相は就任後すぐに沖縄に対して「アメとムチ」を繰り出した。2013年1月29日、成立したばかりの安倍政権は2013年度予算において沖縄に特別の計らいをした。沖縄振興予算を前年比2.2%増とし、さらに那覇空港の滑走路増設予算、沖縄振興交付金を増額した。日本政府が突如としてこれほど寛大になった原因は1つ、普天間基地移設に対する沖縄県からの同意を獲得するためだ。しかし、安倍政権は沖縄にプレッシャーをかけるのを忘れてはいなかった。米国が提起した移設の前提条件――名護市辺野古沿岸部の埋め立て――について、安倍政権は最終的な決定を沖縄側に委ねると宣言した。こうすることで、日本政府は普天間飛行場が移設できるかどうかの最終責任を沖縄に押し付けたことになる。
利益とプレッシャーの板ばさみになり、もともと埋め立てに反対していた沖縄県の仲井真弘多知事は12月25日、ついに東京からの要求を受け入れた。これは、米軍基地の移設問題進展に向け、重要な一歩となった。
しかし、安倍内閣がやっとの思いで手に入れた辺野古沿岸部の埋め立て承認に、米国側が満足したわけではなく、日米双方の交渉には実質的な進展が見られていない。結果から見ると、米国は県内への移設完了を前提に2022年度以降の返還で合意したようだが、米国側は移設の具体的な日程について表明していない。さらに、米国側は日本側にリストをつきつけ、米軍が普天間基地から撤退するまでに完成させるよう要求した。