「嫦娥2号」、深宇宙の小惑星探査に成功
中国の月探査衛星「嫦娥2号」は13日、地球から約700万キロの深宇宙に到達、国際番号4179の小惑星「トータティス」に相対速度・秒速10.73キロでフライバイ(接近通過)し光学観測に成功した。トータティスの近傍観測は世界でも初めて。国家国防科学技術工業局が15日に発表した。人民日報が報じた。
北京宇宙飛行制御センターのシミュレーション映像によると、13日午後4時30分09秒(日本時間同5時30分09秒)、「嫦娥2号」とトータティスの最接近距離はわずか3.2キロ。フライバイした際、監視カメラでトータティスを光学撮影した。「嫦娥2号」は、太陽と地球の引力が釣り合う「太陽-地球ラグランジュ点(L2点)」を離れて195日後に、2度目の拡大実験を成功させ、有終の美を飾った形だ。
「嫦娥2号」は2010年10月の打ち上げ以降、地球から38万キロ離れた月から、150万キロ離れた「L2点」、さらには700万キロ離れたトータティスへと、中国の飛行記録を更新し続けた。月探査プロジェクトの呉偉仁・総設計師は、「嫦娥2号」が達成した成果を以下の4点にまとめた。(1)2度目の拡大実験により、米国、欧州宇宙機関(ESA)、日本に続き小惑星の観測に成功した(2)衛星の小惑星探査の軌道設計と飛行制御技術について、技術的難題を解決し、38万キロから700万キロ以上へと飛行距離の飛躍を実現した(3)初めて天体望遠鏡を総合的に利用したトータティス周回軌道の正確な測定を実現し、国際天文学連合(IAU)の観測データをさらに検証・充実化した(4)1回の打ち上げで月、L2点、小惑星といった複数任務を実施するプロジェクト形態の先駆けとなった-----。
月面着陸の任務を担う「嫦娥3号」は、実機(フライトモデル)の開発が順調に進められており、来年下半期にも打ち上げられる見通し。「嫦娥3号」の任務は、技術がより新しく難易度も高い。中国の宇宙機が初めて地球外の天体に軟着陸する。(編集YT)
「人民網日本語版」2012年12月16日