中国、「空中鉄道」導入で渋滞緩和へ 国産化率9割突破
鉄道車両が空中にあるレールに吊り下げられ、都市のビル間を自由に行き交う様子を想像できるだろうか。この「空中鉄道」の構想は決して夢ではない。第1回中国(上海)国際技術輸出入交易会(以下、上交会)で空中鉄道を導入するプロジェクトが発表されると、たちまち注目を集めた。人民日報が伝えた。
▽省エネ・省スペース・低騒音
空中鉄道こと、懸垂式モノレールの歴史はドイツで始まった。ドイツ・ヴッパータール空中鉄道の建設は1901年に始まり、すでに110年以上の歴史がある。日本やロシアなどでも懸垂式モノレールはすでに長年にわたり運行しており、近年の鉄道プロジェクトの重要形式の1つとなっている。
地下鉄やライトレールと違い、空中鉄道は2両又は4両編成で、主に中レベルの旅客輸送に対応している。乗客を含めると空中鉄道の重量制限は1車両あたり13トンで、最大75人の乗客を輸送できる。4両編成の場合、乗客定員は約300人ということになる。設計速度は時速50キロ、旅行速度は時速25-40キロ。平均時速40キロ、発車間隔90秒として計算すると、輸送能力は1時間あたり1万2千人に達する。
通常時、地下鉄の電力消費量は1両あたり5-6キロワット時に達するが、空中鉄道はわずか2.4キロワット時だ。また、空中鉄道の建造コスト(列車、レール、ホーム、信号制御システムなどを含む)は1キロあたり1億2千万元-1億5千万元で、路面電車とほぼ同じ、ライトレール・低速リニアの2分の1から3分の1、地下鉄と比べるとわずか5分の1となる。
同済大学交通運輸学院の李曄教授は「懸垂式モノレールは、全く新たな理念と、成熟した技術を持つ都市交通モデルだ。主要幹線道路には適さないが、地域内や交通の要所・枢軸、主要施設などを結び、循環する交通手段には適している。懸垂式モノレールは、中レベルのスピード・輸送量を持つ軽量型・電力駆動式の交通手段で、▽安全かつ信頼性が高い▽敷地面積を節約できる▽建設期間が短い▽騒音が少ない▽排気ガスがゼロ――といったメリットを持ち、他の交通手段の補充とすることができる。市民の外出に新たな選択肢をもたらし、目的地にたどり着くまでの『最後の1キロ』問題を解決できる」と語る。