習近平国家主席による今回の中南米訪問は、南南協力の発展の歴史にとって重要な1ページとなるだろう。(文:梅新育・商務部<商務省>研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
BRICS金融協力の具体的な一歩を踏み出し、BRICS開発銀行とBRICS外貨準備基金の創設を決定し、中国―中南米・カリブ諸国共同体フォーラムを始動した。中国・中南米インフラ特別借款、対中南米・カリブ諸国優遇借款、中国・中南米協力基金の始動、中国・中南米農業協力特定資金など一連の大規模な物質資源投入計画を発表し、人的資源・交流面では今後5年間に中南米に対して1万4400人分もの政府奨学金、中国での研修、国や政党の指導者による訪中交流、青年指導者の育成などを用意すると発表した。さらに平等、互恵協力、交流・相互参考、国際協力、全体協力という中国・中南米協力の五原則を打ち出し、南南協力の立体アップグレード版の青写真を生き生きと描き出した。
数十年来の南南協力の経験と教訓が示しているように、発展途上国・地域が経済・社会発展という宿願を実現するための鍵は、外部からの輸血に頼るのではなく、自らの造血機能を形成することにある。中国は2世代の間に経済的に貧しく、文化的に立ち後れた国から、世界第2の経済大国、最大の製造業大国、最大の貿易大国に発展することができた。これこそが成功経験だ。今日、他の発展途上エコノミーに対して、発展した中国はしっかりとした、持続可能な支援を行いたいと考え、このため理にかなった適度な国際援助責任を担いたいと考えている。だがそれ以上に、商業を基礎に平等互恵の経済・貿易関係を築くことを強調している。発展途上の貿易パートナーの能力と自己奮闘精神を尊重し、信頼しているからこそだ。
多くの後発途上国・地域にとって、東アジアなど新興工業エコノミーとの経済・貿易協力の発展は一段と重要だ。産業構造の変化などが原因で、同様のGDPの増分でも、東アジアは欧米よりも大きな輸出市場を創造できる。東アジアなど新興工業エコノミーは経済成長率が先進国よりも高いため、輸入需要の伸びの優勢がさらに際立っている。対中貿易について言えば、中国はとうに世界第2の輸入大国、輸入の伸びが最も急速な大国となった。2000~2008年に世界の輸入の伸びは年平均12%だったが、中国は年平均22.4%にも達した。カナダ、オーストラリア、ドイツなどの先進国から、東南アジア、ブラジル、アンゴラ、さらにはスーダンなどの発展途上国・地域まで、中国の盛んな輸入需要により受ける利益の拡大する貿易パートナーが増え続けている。