放送開始から30年以上が経ち、多くの人々が子供の頃から慣れ親しんだアニメ・ドラえもんが最近、台湾で議論の的になっている。ドラえもんの暴力シーンはいじめを助長するとし、放送自粛を求める声が相次いでいるというのだ。人民日報海外版が伝えた。
ドラえもんでは、のび太がジャイアン達にいじめられ、ドラえもんに助けを求める、というのが定番のストーリーとなっている。台湾メディア・東森新聞網の報道によると、一部の保護者や教師は、こうしたストーリーが学校内でのいじめを助長するとの見方を示しており、「子供が見るアニメとして適さない」と、台湾のテレビ局・中華電視公司に対し放送の自粛を求めているという。
▽子供がのび太になってしまう
ある台湾のネットユーザーはブログで、「ドラえもんを見続けると、子供がのび太のようになってしまうかもしれない」と主張。さらに、ドラえもんの主要キャラクターについても、「のび太は何か問題があるとすぐ泣く、スネ夫はいつも金持ちであることを自慢する、ジャイアンは気に入らないことがあるとすぐ人を殴る。どれも子供達の理想像とは言えない」と切り捨てている。特にジャイアンとスネ夫のコンビは「学校の不良グループの縮小版であり、いじめを助長する」と指摘、「夜6時半のゴールデンタイムになぜわざわざこんなアニメを放送しなければいけないのか、理解に苦しむ」としている。
この書き込みは多くのメディアに引用され、賛同の意を示す保護者も少なくない。高雄市教師組合理事長の董書攸氏も、「テレビ局側が注意を促すテロップなどを表示しても意味がない。放送自粛がもっとも実質的なやり方だと思う。ドラえもんは大変人気があり、子供達に与える影響も大きい。いじめのシーンを見続ければ、子供の精神面にマイナス影響が及ぶ恐れがある。とりあえず放送をいったん中止し、いじめのシーンがない回を選び、放送すべき」と語る。