2014年11月19日  
 

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安倍首相の総選挙前倒し、そのねらいは? (2)

「週刊!深読み『ニッポン』」第71回

人民網日本語版 2014年11月19日08:33

 第三の理由としては、政権基盤を強化し、長期政権の実現に備えるという意図が考えられる。安倍内閣の支持率は発足当時から大きく下がり、45%から54%にとどまっている。安倍首相やその周辺からは、少なくとも6年以上の長期政権を期待する声があるが、不景気と閣僚スキャンダルの続出によって、このままの安倍内閣では支持率が下がるばかりであることが予想される。支持率が30%以下の「危険水域」に入れば、野党の倒閣の機運も高まる。これを避けるにはすばやい措置が必要で、解散するなら早い方がよい。支持率の安定している今に乗じて解散総選挙を行えば、野党の足並みは乱れ、野党は十分な準備期間なしに総選挙に突入することになる。総選挙で安倍首相の自民党が勝てば、安倍首相の指導力と求心力は高まり、長期政権の実現に堅固な政治的土台を与えることになる。

 日本の政界はまもなく選挙シーズンに全面突入することになるが、総選挙にはいくつかの見所がある。

 第一に、今回の衆院選挙は、沖縄駐留米軍の普天間基地の移設問題が焦点の一つとなる。沖縄県知事選では、宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する無党派新人の翁長雄志・前那覇市長が、移設手続きを進めて三選をねらった現職・仲井真弘多氏らを破り、新沖縄県知事に選ばれた。与党自民党が強く押していた仲井真候補の落選は衆院選にも影響を与える。ごたごたが続いていた普天間基地移設問題は、有権者の注目も高く、翁長知事は総選挙でも基地問題をアピールし、普天間基地移設問題の決着をはかるものと見られる。基地移設問題は、根本的には日米軍事同盟関係にかかわる問題であり、総選挙での基地議論を米国がいかにとらえ、普天間基地移設を日米がいかに処理するかが、大きな見所の一つとなる。

 第二に、今回の衆院選挙が日本の未来の政局に与える影響。日本の政界では現在、自民党が優位を占めており、予想外の事態が起こらなければ、安倍首相の自民党が勝利する可能性が高い。ただ自民党と野党の得票率の分布は注目に値する。自民党が野党を大きく引き離して勝つのか、自民党と野党の議席数の差はそれほど開かないのか。日本の未来の政局はいかなる動きを見せるか。「ポスト安倍時代」の幕開けとなるとすれば、自民党内で誰が後継者となるのか。注目すべき点はたくさんある。

 第三に、今回の衆院選挙は、安倍首相の進める「集団的自衛権の解禁」も焦点の一つとなり、軍備の拡大や強化に向かう安倍首相の路線を試す機会となる。選挙の過程で、各政党と有権者が集団的自衛権解禁という敏感な問題をいかに議論し、将来の憲法改正の問題にいかに取り組むかが見所となる。また総選挙後、安倍首相が再任した場合、軍備の拡大や強化の路線がどう変化し、どう継続していくかも注目点と言える。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所研究者)(編集MA)

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 「人民網日本語版」2014年11月19日


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嵯峨 新一郎   2014-11-19180.13.93.*
少子化対策としては、フランスの育児支援制度が効果を発揮していて、高額の子供支援政策が重要と思うが、安倍政権が打ち出した、少子化対策とは、なんと「出生率が1.8になるまで、子供を持つことを希望するようにすればいい」というものであり、経済対策でもなんでもなく、要するに戦前の「産めよ、増やせよ」の軍国思想そのままだ。ただの精神論ということに驚くほかはない。