2014年11月19日  
 

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安倍首相の総選挙前倒し、そのねらいは?

「週刊!深読み『ニッポン』」第71回

人民網日本語版 2014年11月19日08:33

「週刊!深読み『ニッポン』」

 日本の安倍晋三首相は`18日夜、首相官邸で記者会見し、21日に衆院を解散すると表明した。衆院選は「12月2日公示―14日投開票」の日程で実施する。前回2012年12月16日の選挙で選ばれた衆院議員の4年の任期は2016年12月までで、次の選挙は同月に行われるはずだった。今年12月に選挙が行われるのは、2年前倒しでの選挙となる。日本の衆院選は、各政党が政権を争う選挙で、首相を選ぶ選挙ともなる、日本の政界で最も重要な選挙である。安倍首相が衆院解散と総選挙前倒しを突如打ち出したのはなぜなのか。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所研究者)

 第一の理由としては、「アベノミクス」が不利な局面に直面していることに対応しなければならなかったことが考えられる。2012年12月末の第二次安倍内閣発足後に推進された「アベノミクス」は、長年続いた不景気の泥沼から日本を脱出させることがねらいだった。だが今年4月、安倍首相が消費税を5%から8%に上げて半年余りの現在、日本経済は復興の兆しを見せないどころか、足踏みを続けており成長力を欠いたままである。増税の後遺症が拡大すれば、株価の下落や経済減速などでさらなる不景気を招きかねない。不景気は「アベノミクス」への庶民の失望を拡大させ、庶民の失望や不満は安倍政権の根幹を直接揺るがす。

 日本の政界では増税は常に難題だった。1989年に竹下登内閣が消費税3%の導入を決めた際には、自民党は同年の参院選で大敗した。1997年に橋本龍太郎内閣が消費税を5%に引き上げると、自民党は翌年の参院選で惨敗した。2012年には野田佳彦首相が内閣改造して消費税増税を進めたが、結局は退陣を余儀なくされた。安倍首相の衆院選前倒しに踏み切ったのも、増税が「導火線」だ。日本の消費税増税法案は、2014年4月と2015年10月の二段階で消費税率を8%と10%の順で引き上げることを規定している。第一段階の増税効果は芳しくなく、第二段階の増税も大きな議論を呼んでいる。もし10%への増税が計画通り実施できなければ、公約違反だとの批判が起こる。増税を実施すれば、低迷した日本経済にとっては冒険的な措置となり、経済のさらなる悪化を招きかねない。

 このジレンマの下、安倍首相は解散総選挙という禁じ手で「アベノミクス」への庶民の批判をかわすことを余儀なくされた。「増税」に反対意見があるなら、総選挙という厳粛な手段で有権者の判断を仰ぐ必要がある。安倍首相の自民党が勝てば「アベノミクス」実行が支持されたことになり、自民党が負ければ「アベノミクス」は日本経済を救う特効薬としては認められなかったということになる。

 第二の理由としては、安倍内閣の閣僚のスキャンダル続出のマイナス影響を減殺するねらいが想定される。安倍内閣は今年9月に改造を行ったが、入閣したばかりの新人に相次いでスキャンダルが持ち上がり、極右勢力との関係が取り沙汰されたり、出所不明の政治献金が問題化したりした。とりわけ経済産業大臣の任命では安倍首相の責任は否定できない。9月に任命された小渕優子大臣は巨額の政治献金問題で辞職し、代わって就任した宮沢洋一氏にも就任3日足らずでスキャンダルが暴露された。宮沢氏のスキャンダルは金銭だけでなく、口に 出すのもはばかられるスキャンダルにもかかわっており、宮沢氏個人の問題以上に安倍内閣と首相本人の人材起用の誤りとしてもクローズアップされている。野党が追及すれば、安倍首相の顔は立たなくなり、首相としての威信は損なわれる。増税に対する関心が全国的に高いのを利用して「増税の是非」を争点に解散総選挙に打って出れば、野党と世論の注意を総選挙に移し、閣僚スキャンダル続出のマイナス影響を最小化できる。


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コメント

最新コメント

嵯峨 新一郎   2014-11-19180.13.93.*
少子化対策としては、フランスの育児支援制度が効果を発揮していて、高額の子供支援政策が重要と思うが、安倍政権が打ち出した、少子化対策とは、なんと「出生率が1.8になるまで、子供を持つことを希望するようにすればいい」というものであり、経済対策でもなんでもなく、要するに戦前の「産めよ、増やせよ」の軍国思想そのままだ。ただの精神論ということに驚くほかはない。