最近メディアは、中国が抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念の盛大な軍事パレードを実施することを次々に報じている。こうした軍事パレードは第2次大戦の連合国ではすでに数回実施されているが、中国では初めてであるため、国内外の世論の熱い議論を呼び、中国の戦略的意図について憶測が飛び交っている。(文:王海運・中国国際戦略学会上級顧問、中国中露関係史研究会副会長。環球時報掲載)
人々が最初に思いつくのは、中国が急速に台頭する世界大国として大規模な軍事パレードを実施するのは国威を発揚し、軍の威容を誇示するためであり、強国富民「中国の夢」の実現に資するというものだ。こうした意図は確かにあると言える。中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義の道の導きの下、中国はすでに世界第2のエコノミーに発展し、軍事力でも世界の大国の前列に躍り出た。大量の先進的武器、意気軒昂たる威武の部隊が天安門広場を行進すれば、民族精神を奮い立たせ、民族の自信を強め、国の平和的発展プロセスを加速するのは確実だ。
筆者の見るところ、別にもう1つ重要な考えがある。世界反ファシズム戦争のアジアの主戦場としての中国の歴史的役割を国際社会が理解し、銘記する助けとなることだ。周知の通り、第2次世界大戦のアジア太平洋戦争は日本による中国侵略から始まった。中国の対日作戦は最長で、8年の長きに及んだ。殲滅した日本軍の数も最多で、日本軍の死傷者数は中国の戦場で全体の70%以上を占めた。民族的犠牲も最大で、軍民3500万人以上が死傷し、直接的・間接的な経済的損失は6000億ドルに上った。中国の持久抗日戦は日本軍の「南進」の歩みを有力に遅滞させ、太平洋の戦場での交戦が最も激しかった時期でさえ、中国の戦場は日本軍総兵力の3分の2を引き止めていた。中国軍はまた、連合国軍の対日作戦の一連の重大な戦役に直接参加したうえ、連合国の作戦行動に空軍基地と後方支援を提供した。中国の粘り強い抗日戦争はまた、「北進」を重点にしてドイツと両面からソ連を挟撃する戦略的意図の変更を日本に余儀なくさせた。これによってソ連は二正面作戦を回避し、極東地域の強力な部隊を配置転換して対独作戦を強化することができた。この意義において、中国の戦場は単なるアジアの主戦場ではなく、世界反ファシズム戦争の勝利に歴史的貢献を果たしたのである。