さらに「偶然」なのは、「ドラえもん」に登場するそれぞれの一人っ子のキャラクターは、中国の学校の中で見られる典型的な生徒のタイプにぴたりとはまっていたことだ。遊んでばかりで怠け者ののび太、可愛くて優等生のしずかちゃん、いじめっ子のジャイアン、ジャイアンの金魚の糞で、家が裕福なスネ夫。中国の子供たちもこれらの登場人物に、自分の周りの友人やクラスメートの姿を重ね合わせることができた。しかも、登場人物たちはそれぞれに欠点はあるが、どこか憎めない。むしろ、非常に親しみやすく身近に感じられる。これも、「ドラえもん」のキャラクター設定の特別なところであり、だからこそリアルで、自分の生活に置き換えることもできた。
長年にわたり、「ドラえもん」の映画やアニメ、あるいは「ドラえもん」のキャラクターは、テレビや映画のスクリーンを通して、子供の頃に見た非現実な夢を現実の世界の出来事へと変えてくれた。ノスタルジックな感動作を打ち出した「STAND BY ME ドラえもん」は中国の観客を過去、現在、未来へと時空を超えた旅に連れ出す間に友情や親子愛、恋愛の大切さを実感させ、ノスタルジックな感傷と温かさを体験させてくれる。
この感覚は、明らかに同世代の大勢の人々が映画館のような同じ空間の中で集団的に体感することが求められる。「STAND BY ME ドラえもん」はまるで特別に中国の観衆の青春時代を描いた映画のようだ。「STAND BY ME ドラえもん」が中国で大ヒットを記録したのは、考えてみれば当然のことと言える。(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年6月5日