50年間、警察官を務めた石井さんは毎日朝早くにパトロール地域に行き、仕事が正式に始まる前に道路上の吸い殻などのゴミを一通り拾う。パトロールで通る道はすでに石井さんによって1度ゴミが拾われているが、路上にはいつも少なくない新しい吸い殻が落ちている。石井さんは吸い殻を拾いながら、「路上の吸い殻を適宜に拾わなければ、より多くの吸い殻がここに捨てられるだけでなく、ここで喫煙する人まで現れる。路上がきれいでなければ、有効的に喫煙を防止することはできない」と語った。
パトロールの途中、高橋さんは手を握ってみせるとともに、パトロールの秘伝を教えてくれた。喫煙者を見つけたければ、最も簡単な方法は顔をみないで、手を見ることだという。両手が開いていれば、タバコは吸えるはずがない。でも、もし両手が握られていたら、かなりの確率で喫煙していることが多い。高橋さんは、「日本では、ほとんどの人は路上など公共の場で喫煙してはいけないことを知っている。そのため、喫煙者はパトロール員を見ると吸っていたタバコを握った手の中に隠す」と語った。毎日制服を着て取り締まりをしているパトロール員の存在はすでに喫煙者にとって抑止力となっている。
石井さんは2010年に港区のパトロール員になった。初年度は、毎日数十人もの喫煙者に注意を行っていたが、今では毎日10人にも満たない。路上にポイ捨てされた吸い殻も以前に比べるとだいぶ少なくなった。同日、午前8時から午後2時までの高橋さんの歩数は約1万歩に上り、注意した喫煙者の数は7人だった。一方、石井さんは数百の吸い殻を拾った。港区の規定では、パトロール員は注意をして、たばこの火を消すよう指導するだけで、罰金を徴収する責任は負っていない。