人気ワード4:ナッシュ均衡
ゲームに参加する各プレーヤーが、互いに対して最適な戦略を取り合い、各プレーヤーが互いに最適な戦略を取り合っているため、これ以上戦略を変更する誘因を持たない安定的な状況。数学者のジョン・フォーブス・ナッシュが考案した。ナッシュ均衡は、プレーヤー同士が、前もって約束や共謀を行えないことを前提している。これは「囚人のジレンマ」と同じ。共同で犯罪を行ったと思われる囚人A、Bを自白させるため、警官は2人に以下の3つの条件を伝える。▽2人とも自白したら、2人とも懲役5年▽二人のうち1人だけが自白したら、自白した側はその場で釈放する(つまり懲役0年)。この場合自白しなかった方は懲役10年。▽2人とも黙秘し、証拠不十分なら、2人とも懲役1年---。2人が自白した場合と自白しなかった場合の結果をまとめると、下の表のようになる。「ナッシュ均衡」の概念によると、Aが自白した場合、Bにとって最善策は自白となる。また、Aが自白しなかった場合の最善策も自白。つまり、Bがどのような行動を取るかに関わりなく、Aにとっては、自白が最善策となる。そのため、ナッシュ均衡では、実現する結果は両者とも5年の懲役となる。2人は別室に隔離されているため、2人にとって最適の懲役1年という結果は得られない。この例から、同盟を結べば、2人共にメリットがあるものの、協力がない前提下では、どんな約束をしていても、それぞれが自分の目標達成を追求し、それが果たされたりするのは不可能になることが分かる。この矛盾により、ナッシュ均衡の概念の欠陥を指摘できるかもしれないが、同概念はやはり多くのケースに当てはまると言える。
【「ビューティフル・マインド」モデルのノーベル賞学者ジョン・ナッシュ氏 交通事故で死去】