中国人から見ると、これらは小さな贈り物に見えるが、お中元やお歳暮の贈り物は、値段が重要ではない。大事なのは、気持ちが伝わるかどうかだ。ゆえに、日本人は「ささやかな贈り物」に気持ちをこめる。わざわざ三越や高島屋などの百貨店に出かけて贈り物を購入する人も多い。包装紙に有名百貨店の名前やロゴが書かれていれば、相手を重視している感を出すことができるからだ。百貨店のギフトでは気持ちが伝わらないと考える人は、もっと個性的なギフトを選ぶ。例えば私は、瀬戸内海の小島で魚介類を肥料にして育てられたたみかん、北海道のご当地調味料などをいただいたことがある。
「君子の交わりは淡きこと水の如し」という言葉もあるが、こうした古風な人付き合いは、深い感情のやり取りにつながる。しかし近年、日本人の人間関係はますます希薄になっている。まず、SNSの普及により、頻繁に顔を合わせなくてもネット上でいつでも交流できるようになり、オフラインの活動も計画できるようになった。人と人の間のバーチャルな距離が近づき、お中元やお歳暮といった伝統的なやり方で人との関係を築いたり、強化する必要がないと考える人が増えた。