招待を受け、福建省泉州市で開催された第14回アジア芸術祭、第3回アジア文化フォーラムに参加した千玄室さんは、中華文化に対する思いを率直に語る。
泉州文廟や儒家文化は孔子を始祖とすることを知っている千玄室さんは、「孔子はいかに正しい人生の道を選び、歩むかを教えてくれる。もちろん、老子や庄子、インドから伝わった仏教の文化なども、中国文化の根で、私が最も好きな文化」と千玄室さん。
長年、茶道を生活の中心としてきた千玄室さんは世界の30以上の国を訪問し、お茶をテーマとした平和的文化交流を行ってきた。「お茶の縁を通じて交流を行ってきた。小さな事だが、本当の心の交流ができるので、今後も努力を続ける」と語る。
千玄室さんは1979年に初めて中国を訪問し、鄧小平副総理(当時)に謁見する機会があった。「その時もお茶をきっかけに交流が始まった。鄧副総理もお茶が大好きで、『お茶の文化をもう一度中国に戻さなければならない』と語っておられた。これが、私が中国に来るようになったきっかけ」と目を輝かせた。
「『一衣帯水』というのが中国と日本の関係。中国のお茶の文化が日本に伝わり、日本の文化と結びあわせて根付き、開花した。これがあったから、私の家族があり、今の私の仕事がある」。
「中日両国の交流は紆余曲折を経験したが、私は終始穏やかな気持ちを保っている。問題を解決する鍵は礼儀と敬意。どんなことがあっても、まず心を静めて座ってお茶を飲み、それから問題を吟味すれば、容易に解決できる」。
中国の指導者が打ち出している「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)構想について、千玄室さんは、「『1ベルト、1ロード』に牽引され、中国に起源を持つお茶の文化を、アジアにとどめておかず、世界の文化にすべき。文化の融合は、本当の平和を生み出す基礎」との見方を示した。
「人民網日本語版」2015年11月11日