2011年10月、私の東京駐在記者としての生活が始まった。東京では多くの人を取材し、様々な出来事を経験し、日本のことをある程度理解することが出来たと同時に、いかにして良い記者になるかについても認識を深めた。(文:張誠。2007年に新華社傘下の参考消息報社・日本語室に所属。2011年から2013年まで新華社の日本駐在記者を務め、東日本大震災1周年記念報道、釣魚島事件の関連報道、法制中国、舌の上の浪費などのシリーズ報道を担当。新華網掲載)
2013年10月27日、私は佐賀県多久市を訪れ、孔子祭を取材した。孔子祭の献官役を務める多久市の横尾俊彦市長はインタビュー前、私が渡した名刺をじっと眺め、「あなたの名前にある誠の字は、日本人がとても好きな文字だ。ごんべんに成と書く。つまり有言実行、言うことに信用があるということ。信用と言えば、『儲』という字があるが、これは儲ける、お金を稼ぐという意味。この文字の左側は信、右側は者で、誠実で信頼できる人こそお金を稼げることを表す。日本人は誠・信の2文字で経営に成功してきた。中国人が作った漢字はすばらしいものだ」と語ってくれた。
彼のこの言葉で、私たちの距離はぐんと縮まった。堅苦しい取材になるかと思われたが、漢字文化という共通の基礎があるため、スムーズに交流でき、よい原稿が仕上がった。中国の辞書の中の私の名の解釈は、彼の説明と同じとは限らないが、共通する漢字に対する認識を持っていたことで、私たちに親近感が生まれた。