筆者が翻訳した原稿はまず出版社の編集者に送り、それが返ってくると、たいがい、訂正だらけで、周りに人がいなかったとしても、恥ずかしい思いになってしまうほどだ。2回目、3回目、4回目の校正が返ってくる時も、「なんの問題もないはず」と思っていても、緊張して心臓がドキドキしてしまう。5回目の校正の時も、句読点の訂正があり、安心した思いで見ることができるのは、店に並んでいる自分が翻訳した本を見る時だけだ。
北京で以前、所狭しと並んだ日本の文学書籍の前で、多くの人がそれを手にとって読み、それを次々にカートの中に入れていくのを見たことがある。そのような現象が、日本の書店の中国文学のコーナーの前でも起きてほしいと思っている。
筆者が自分に対して唯一求めているのは、真剣に細かな所にまで気を配った翻訳をすること。1年に1冊も翻訳できなかったとしても、作者を安心させ、読者に楽しんでもらい、自分も心臓がドキドキする必要がない状態にしたい。中国文学を翻訳している日本の翻訳家もそのように心掛けていると信じている。
「人民網日本語版」2015年12月3日
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