「今年初め、人民元レートが大幅に変動し、多くの企業や個人が外貨両替のために銀行に詰めかけ、市場の不安をあおった。今年に入っても、世界経済の回復は思わしい状況ではなく、不確定・不安定要素が増え、国際金融市場は大きく揺れ動いている。一方、国内市場は、安定の中で発展するすう勢が続いており、主要指標の中にはポジティブな変化がみられるものもある。人民元レートは基本的に安定傾向にある」
ある銀行関係者は、「銀行は、一定額以上の外貨の購入業務については、事前報告制を導入しており、資本項目における多額資金の海外投資については、厳格な審査を実施している」と指摘した。
中央銀行は、4月の外貨準備高3兆2200億ドルという統計のほか、SDR(特別引出権)建ての外貨準備データも発表した。4月末の時点で、中国外貨準備高は2兆2700億SDR、3月比86億9100万SDR減少した。このように「上昇・下降を繰り返す」外貨準備高データを、どのように解読すれば良いのだろうか?
興業銀行チーフエコノミストの魯政委氏は、次のように分析した。
「ドル建ての外貨準備高が増加する一方で、SDR建ての外貨準備高は減少し続けており、両者の整合性は取れていない。その原因は、為替レート換算にある。対ドル人民レートが安定している一方、ユーロや日本円などのバスケット通貨は下落傾向にあることから、中国の4月SDR建て外貨準備高が減少する結果となった。SDRは通貨バスケットであり、外貨準備高の総合的な価値をより客観的に反映することができる」。
総合的に見て、中国の外貨準備高はマイナス成長からプラス成長に転じつつある。これは主に、中国のその他マクロ経済指標の好転、FRB短期利上げ見通しが冷えたこと、人民元レートの安定化、中国政府の厳格な外国為替管理政策の実施などの原因による。