データをみると、2015年の銀聯カードの銀行間取引総額は53兆9千億元(1元は約16.1円)に上り、前年比31.2%増加した。これほど大きな市場を前にして、国際大手のビザやマスターはもとより、国内の第三者決済機関もかねてよりパイの分け前にあずかりたいと考えていた。
実際、ビザとマスターは20数年前に中国市場に相次いで進出したが、政策による制限があったため、「迂回路を取って」銀聯と共同でクレジットカードを発行することしか選択できなかった。現在、多くの人が保有する「ダブルネームクレジットカード」は、1枚のカードに銀聯とビザ、または銀聯とマスターのつのブランドが併存するものだ。
ダブルネームカードは国内で使用し人民元建てで決済する時には銀聯の決済ルートを利用し、海外で使用し外貨建てで決済する時にはビザやマスターの決済ルートを利用する。だが決済市場の開放にともない、ダブルネームカードは今後、「絶版」になる可能性がある。
▽どこがいい? 企業と消費者は手数料・サービスで決める
中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は、「銀行カード決済市場が開放されるようになると、決済機関によってカード利用、中継、現金引き出しなどの手数料が変わるようになり、こうした差異をめぐる競争が消費者に利益をもたらすことになる。どこのサービスがいいか、手数料が安いか、セキュリティがしっかりしているかをみて、企業と消費者は決済機関を選択できるようになる」と話す。