安定した需要に支えられて、中国の経済成長は今年、「安定しつつ好転する」が基本姿勢になるとみられる。今年上半期の国内総生産(GDP)増加率は昨年第4四半期(10-12月)の水準にほぼ匹敵しており、今年通年では7%前後となり、第13次五カ年計画は安定した幕開けを迎えるとみられる。「人民日報」海外版が伝えた。(文:張立群・国務院発展研究センターマクロ経済研究部研究員)
中国経済は楽観でき、十分な力がある。まず10数億人の人口が正常な生活を送れること、これが経済成長の基礎だ。こうした背景の中で、中国経済がマイナスに陥ることはあり得ない。基本的な国民生活を保障するための生産が、経済全体の成長を支える重要な役割を発揮するとみられるからだ。今、産業や投資を観察するとわかることは、消費に関連したあらゆる産業、たとえば食品工業、繊維工業、家電工業、家具、コンピューター、携帯電話などは、いずれも安定した伸びを見せ、一部の重化学工業が困難に陥っているのと比べると明らかに異なる。
次に、投資が安定に向かい、中でもインフラ投資の伸びが投資全体の伸びを「安定させる装置」になっている。2015年の投資に占めるインフラの割合は24%に迫り、インフラ投資には今後、大幅な力強い伸びは出現しないとみられるが、当面の計画を立て、長期的な視野で考え、特に新型の都市化に合わせてインフラ投資を推進することに注目するようになる。目下、都市化は大都市だけの取り組みではなく、都市群が主体となって進めるものであり、都市間の相互連携、交通の一体化、水・ガス・電気・暖房の供給と下水・ゴミ処理の能力を構築するものであり、非常に多くのプロジェクトを包摂するものだ。
資金面では、過去のインフラ投資は主に地方の投融資プラットフォームを通じて行われ、リスクが非常に大きかった。ここ2年ほどは地方債の置き換えが進み、これは実際には信用担保の主体が地方から中央に移ったということであり、国家発展改革委員会、審計署(監査署)などの部門が地方債と債券を発行して行われる建設プロジェクトの審査に関与し、審査後には一連のプロジェクトが置き換えられ、政府・銀行間の融資をめぐる関係が改善されたということだ。
今年の「政府活動報告」でうち出された計画をみると、経済では2つの重要な計画がある。安定成長と供給側改革だ。安定成長では主に次の措置を実施する。▽マクロ政策の安定化。積極的な財政政策を強化し、金融政策をより柔軟にして、広義マネーサプライ(M2)は前年比13%増加する見込みで、増加幅が大きくなるとみられる▽国内の潜在的需要を掘り起こし、消費を増やし、経済成長を牽引する基礎的役割を発揮させると同時に、有効な投資が安定成長と構造調整に対して果たす重要な役割を発揮させる▽新型都市化を深いレベルで推進し、人口の市民化を加速させ、都市部の社会保障対策・安居プロジェクトの建設と不動産市場の安定的で健全な発展を推進し、都市計画の建設管理を強化する等。
供給側改革について、「政府活動報告」は主にその実施に力を入れる。まず政府と市場の関係のさらなる調整、行政手続きの簡素化と権限委譲、活性化と監督管理の結合、サービスの最適化、行政改革の縦方向への発展を推進する。次に基本的な経済制度の改革を推進し、国有企業の改革の推進に力を入れ、非国有経済の活力をよりよく発揮させる。そのため国務院はこのほど、監督調査チームの派遣を決定した。
こうした分析に基づき、中国の経済成長の流れは安定に向かい、成長の「実質の価値」が増加し、経済成長の体制メカニズムが成熟と定型化に向かうとみられる。中国経済の見通しに対して十分な信頼感を抱くことができる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年7月26日
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