三潴正道教授(左)とそのチーム
「人民日報」にもおもしろいエピソードがたくさん
「新中国より1歳年上」と自称する三潴氏は、東京外国語大学で中国語を専門に学んでいた時、「人民日報」が指定の教材だったという。1980年代初期、三潴氏は日本青年友好訪中団の通訳をしたことがあり、その時に、話し言葉と書き言葉の違いが分からないことに気付き、毎日朝4時に起きて「人民日報」を読むことを決意したという。その習慣は今でも続いている。そんな三潴氏は、「そのようにして本当によかった。人民日報を通して、断片的にではなく、中国を全体的に理解することができるようになった」と話す。
長期に渡って中国語を教えていると、三潴氏は日本の学生はある段階まで学ぶとスランプに陥ることに気付くようになった。その原因は、日本の中国語の授業では、評論文に対する読解力を身に付けにくいからだ。その点、「人民日報」の多くの記事は典型的な「評論」で、非常に良い教材となる。
2007年ごろ、三潴氏は「人民日報」を読む過程で、GDPだけに注目することに反対したり、汚職を根絶しようとする記事が多くなっていることに気付いた。そして、「これは中国の共産党や政府の自浄能力」と感じ、「人民日報」を通して、日本の読者に、客観的で公正に今の中国の考え方の変化を理解してもらいたいと思うようになったという。
三潴氏は、「『人民日報』は中国共産党の機関紙で、参考にする価値は十分にあるものの、堅すぎるというのがほとんどの日本人のイメージ。私は、『人民日報』にもおもしろいエピソードや深みのある観点がたくさんあると伝えたい」と話す。
三潴氏は、274項目あるジャンル別索引を作成。毎日、「人民日報」の記事を厳選して3編読み、その中から毎月8編を選出した。そして、年末に60編を厳選し、15章に分けて翻訳しまとめた。中国の庶民の生活や感情を反映し、両国の国民の相互理解を促進させる内容かどうかというのが、厳選する際の主な基準となる。
「必読!今、中国が面白い」シリーズで三潴氏が選出した記事や15章のタイトルを見ると、その中国のホットな話題を把握する的確さに驚かされる。また彼の中日両国が直面している問題への深い思いが伝わって来る。
シリーズ第10弾の「まえがき」で、三潴氏は、「ほとんどの日本人が、『人民日報』より、日本の新聞報道のほうがより客観的だと考えている。しかし、私はある意味『人民日報』のほうがより客観的だと思う。中国には他人の行いでも、自分を向上させるためには役に立つという意味をもつ『他山之石』という成語があるが、中日関係が悪化している時期でも日本の長所に対しては、この『いいものはいいのだ』という終始謙虚に学ぶ態度を保って報道している。一方、日本の新聞は、中国に対して常に批判的な態度で、中国から学ぶ価値のある点にも目を留めない」と指摘している。
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