2016年12月2日  
 

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谷川俊太郎:中国で最高賞を受賞した日本の国民的詩人 (2)

人民網日本語版 2016年12月02日11:19

谷川さんの詩を読んでいると、私は時々フランスの詩人ジャック・プレヴェールを思い出す。二人の作風には、共通点がたくさんある。例えば、詩が会話的で、あまりにわざとらしい表現や複雑なイメージはなく、言葉が素敵で力がある。そして、言葉は簡潔だが意は尽くされており、無駄な言葉はない。「拒絶」、「正午」、「部屋」などでは、点と線で生活の様子が描き出され、それを読むと、長時間余韻に浸ることができる。言葉は変化に富み幻想的で、人生の束縛から解放され、時空を超えたような感覚にさせられる。「からだの中に、深いさけびがあり、口はそれ故につぐまれる。からだの中に、明けることのない夜があり、眼はそれ故にみはられる」(からだの中に)。「ヒトに自分がいなくなった日、ヒトはたがいにとても似ていた。ヒトに自分がいなくなった日、ヒトは未来を信じつづけた」(空に小鳥がいなくなった日)。これらの詩は、一見とてもシンプルに見えるが、とても深い意味があり、味わい深く、それを言葉でうまく言い表すことはできない。「春の臨終」で、谷川さんは、命の本質を見つけることに固執するのではなく、人生を達観しており、詩の中に命の意識が詰まっている。そして、それを小鳥と対話するという方法で表現している。誰かが、「悲しむ」、「腹を立てる」、「笑う」、「生きる」、しいては「顔を洗う」ことを好きになり、過分な要求や欲望を捨てた。その人物は、「季節の移り変わりを止めることは誰にもできず、生活がどうであれ、このまま続いていく。そのことをよく分かっていると、一度の春が終わったにすぎないと思うようになる」と悟っている。

谷川さんの詩には、自然に対する配慮と深い信仰心という鮮明な特徴がある。詩には、山や林、海、空、川の流れ、鳥、木などの描写対象がよく登場する。もしかすると、それは、彼が若い時に詩人・宮沢賢治の影響を受けたことと関係があるのかもしれない。二人の自然に対する意識は、一致している部分もあれば、異なっている部分もある。しかし、詩を通して表現されている仏教的な雰囲気はとてもよく似ている。ゆっくり味わって読むと、谷川さんの詩は、理性的な光を放っており、生と死が淡々と表現され、この世を超越したものとなっている。そして、静かに悟ることに重点を置き、一瞬で印象に残るようなリズミカルな表現で、命に対する意識を昇華させ、人の心の世界にある共通の困惑や悲しみの気持ちを表現している。(編集KN)

「人民網日本語版」2016年12月2日


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