中国文化の研究に没頭し、中日文化交流に注目し、持論を展開するというのも、このエッセイ集の特徴の一つだ。「チャイナドレスと日本人」では、「民国時代に改良版チャイナドレスが中国人女性の間でオシャレなファッションとなり、日本の女性の美的センスにも大きな影響を与えた。チャイナドレスから、政治を通しては伝えることができず、アートでしか表現できない中国人の強さと美しさが完璧に伝わって来る」としている。「『型』と中国文化」というエッセイでは、「日本人は『形』(形態)を『型』(仕切り)にするのが得意で、『無形』の要素を多く取り入れる中国文化と比較する」と書いている。このような表現には、強い印象を受けずにはいられない。
日本と中国の美食に対する評価も、このエッセイ集のおもしろい内容の一つだ。「おいしいウナギ」、「豆腐雑談」、「日本のラーメン」、「おいしいお寿司は米が命」、「世界で好評を博する日本のウィスキー」、「似て非なる『中華料理』」などのセクションでは、作者の美食家としての一面が発揮されている。野島さんは、日本の美食のすばらしさのほか、中国の飲み物や食べ物が好きであると書いており、両者の根源も考察している。また、日本のラーメンを食べて感動を覚え、「元々おいしいものに改良を加えて、完璧なものにする。このような冷めることを知らない情熱こそが日本人の本当の才能かもしれない」と記している。これこそが、日本人の性格や伝統文化の最も大きな特徴ではないだろうか。
「豆腐とウィスキー」に収められている約110本のエッセイはどれもとても興味深い内容で、中国人が日本の現代社会や文化、歴史、日本人の中国に対する見方などを理解する助けとなる、意義深い作品に仕上がっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年12月5日
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