日本のジャーナリスト・野島剛さんがこのほど、中国でエッセイ集「豆腐とウィスキー」を刊行した。野島さんが中国で本を刊行するのは「ふたつの故宫博物院」(2012年)に続いて2冊目。後者は、「日本にも中国のことをちゃんと理解し、客観的に中国を見ているジャーナリストがいる」と大きな話題となった。「豆腐とウィスキー」に収められているエッセイのテーマは幅広く、時の政治情勢に非常に敏感で、豊富な知識と、独特の観点で書かれている。そして、野島さんの優秀なジャーナリストとしての知性やエッセイストとしての感性がひしひしと伝わって来る。(文:劉蔚。北京青年報掲載)
世間で話題となっているニュースをリアルタイムで取り上げ、自分らしい思考で持論を展開するというのが「豆腐とウィスキー」の大きな特徴の一つ。例えば、「ソニー凋落」というエッセイでは、日本の大手家電メーカー・ソニーが14年に巨額の赤字となったことや近年衰退している原因などについて、納得のいく分析を行っている。そして、「ソニーは00年以降、インターネット関連の商品において、画期的な商品を一つも打ち出しておらず、インターネットの特徴を十分に理解できていない」と指摘。また、「時代について行くことができていないというのが、ソニーが坂道を転げ落ちている主な原因」としている。このような斬新な観点は、ジャーナリスト・後藤健二さんがなぜ危険を冒して、結局テロリストによって殺害されてしまったかを分析する「テロ組織『イスラム国』に誘拐された友人」や、中国でコンビニが新聞を売る売店に取って代わるようになることを予測する「コンビ二の40年の歩み」、マスコミの「原罪」について語る「スクープと自殺」、日本の国民的俳優・高倉健について書いた「昭和の時代を象徴した高倉健の死去」などのエッセイでも十分に示されている。彼の見方全てに賛成できるわけではないが、その問題を見る独特な観点や思考の深さには感心させられる。
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