▽TPP以外の重要な道
中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東室長は、「日本はこれまでTPPに中心的に取り組み、アジア太平洋に日米が共同で制定したルールに基づく自由貿易圏を建設しようとしていた。現在、TPPの希望がついえ、日本は米国という最も親しい盟友から当てにしていた経済的なリターンを得ることができなくなった。そこで日欧EPAの交渉ペースを推進して、代わりにEUから利益を得ようと考えるようになった。これは最近の日本が日欧EPA交渉を非常に気にかけるようになった重要な原因だ」と話す。
今月9日、日本の国会はTPPの承認案と関連法案を可決した。だが米国のトランプ次期大統領が来年1月の就任初日にTPPから離脱するとの方針を表明したため、TPPの発効は非常に難しくなったという悲観的な声があちこちから聞こえてくる。これまでTPPに多大な精力を傾けてきた安部政権にとって、米国の態度の変化が深刻な打撃であることは間違いなく、やむなく別の道を探る必要性に迫られるようになった。
国際関係学院国際政治学部の孟暁旭准教授は、「実際、日欧の経済パートナー関係はこれまでずっと日本が求めてきた方向性の1つであり、対外経済協力の枠組み拡大における重要な構成要素だ。日本は元々、米日欧の3大経済圏を建設しようと考えていたが、今、TPPはリスクに直面しており、日本にとってEUの重要性が増している。現在、日本と米国、日本と中国との経済協力情勢には一連の問題が出現し、3番目の経済協力パートナーであるEUが、自然と日本が国内の経済成長を推進し、海外経済市場を拡大する上での重要な道になり、また現在では最も希望のもてる選択肢になった」と指摘する。
また最近の韓国政局の動揺により、年内に予定されていた中日韓首脳会談が立ち消えとなり、これにより会談で中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉を推進しようと考えていた日本の思惑は水を差された形になった。呂室長は、「現在、多国間モデルは成立しないので、日本はEPAという二国間モデルに力を入れている。こうした現状から考えて、今後しばらくの間、日本の地域経済協力における全体的な意向の中で日欧EPAが筆頭に位置することになるだろう」と予想する。
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