日本はかつて経済の奇跡を成し遂げた。第二次世界大戦後の廃墟から急速に立ち直り、1960年代末には世界2位のエコノミーとなり、この勢いは40年以上も続いた。
50年から73年にかけて、日本の国民総生産(GNP)の年平均増加率は10%を超え、科学技術投資も高い増加率を維持した。日本は輸出主導型の経済を発展させ、製造された製品の多くは海外に輸出され、それによって得た外貨は工業のさらなる発展に必要な技術、管理の経験、原材料、エネルギーなどの購入に充てられた。
日本国内にはこれ以外にも経済復興にプラスの要因がたくさんあった。日本人の真面目で仕事熱心という一般的な性格、政府と産業界との緊密な連携、ハイレベルの匠の精神などだ。
上海外国語大学国際関係・公共事務学院の教授で、学術誌「国際観察」の編集長を務める武心波氏は、「日本が戦後、急速に立ち直ることができたのは、地縁政治の要因によるところが大きい。『西側世界のVIP』として、日本は何事も非常にうまくいき、米国から各方面の支援を受けた。工業の基礎、資源、資本、技術など、すべて米国からの支援があった。このように外的条件に恵まれていて、日本が強く大きくならないわけがない」と指摘する。
だが1990年代以降、日本経済はいわゆる「失われた20年」を経験し、国内総生産(GDP)の増加率は長期低迷し、企業の競争力も下降線をたどり、自動車製造などの伝統的に強い分野だけが世界トップクラスの競争力を保った。世界中の経済学者が今、日本の20年以上にもなる停滞期がこれからあと何年続くのか、「アベノミクス」が日本経済の劣勢を跳ね返せるかどうかに注目している。
実際、21世紀になってからの日本経済の情況は決して悪くない。特に金融危機発生後のGDP増加率をみると、12年も13年もドイツを上回っている。
武氏は、「冷戦終結後、日本の生存環境には課題が突きつけられた。日本はもともと温室育ちの花で、今は外に置かれ、他の普通の国と同じように自然環境の中で生きていかなければならなくなった。日本はだめになりそうだ。なぜかといえば、日本が冷戦時代に積み上げた規模が大きすぎるから、この巨大な規模は冷戦のニーズによって膨らんだ、いわゆるバブルだからだ。日本は『失われた20年』を経たというより、『普通に戻る20年』を経たというべきだ。日本は衰退しているのではなく、『腫れが引く』のを待っているだけ、普通の状態に戻ろうとしているだけだ」と述べる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月30日
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