今の状況はそれほど悪くないし、未来がそれほど好転するとは思えないので、これ以上努力する必要はない。低欲望のこの「悟りきった」ような心境は、経済にとっては何のメリットもない。わかりやすくいえば、低欲望とは人々が消費に熱中しないことであり、消費は減少し、企業の利益も減少し、ひいては企業のリストラにもつながり、個人消費はさらに減少する。こうした悪循環が絶えず起きかねない状況の中で、経済の復興はますます困難になっていく。
低欲望社会では、高額の消費によってニーズを満たすことはできないため、安い価格の代替品を探してニーズを満たすしかない。いわゆる不況の時は口紅が売れる「リップスティック効果」というやつだ。経済が不況になると、収入が低下し、住宅購入、自動車購入、旅行といった高額の消費は望めなくなる。だが手元にはいくらか余裕があるので、要りもしない安いモノを買って心を慰める。経済の低迷は、低欲望社会と高齢化社会が生じる原因であり、また低欲望社会と高齢化社会がもたらす必然的な結果なのだ。
話を戻せば、ロボットが介護人材に代わって高齢者のケアをするというのは、西側社会でも中国でも倫理的に受け入れられないことだ。だが日本社会にとっては高齢化が進行し労働力の減少が続く中でのやむを得ない選択だ。ターミナルケアの問題に直面した場合はどうか。ロボットは所詮ロボットに過ぎず、今の状況をみても、人間に代わってすべての介護を担うことはできない。高齢者にとっては、ロボットは物理的な世話をしてくれて、ニーズは十分に満たせているかもしれないが、精神的なケアという点では、高齢者の気持ちを全面的に読み取り、理解してくれる存在はやはり人間しかいない。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年4月19日
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