ここ数年、O2O(オンライン・ツー・オフライン)による「ものぐさ経済」の影響で、ますます「ナマケモノ」化することが当たり前になりつつあり、労せずして時間の利用効率を引き上げることを可能にしている。「ものぐさニーズ」が原動力となり、新型プラットフォームや楽をするための製品が次々登場し、それにより横になったまま暮らす人や腰を曲げようとしない人、家事は指示するだけで自分ではしない人など、さまざまな「新人類」が誕生している。ネット通販サイト大手の淘宝(タオバオ)が発表した「ものぐさ消費データ」によれば、2018年に中国人は楽をするために160億元(約2609億円)を支出し、その額は前年比70%増だった。なかでも95後(1995年から1999年生まれ)のものぐさニーズが急増しており、増加率は82%に達している。「工人日報」が伝えた。
▽人が「ナマケモノ」になればなるほど社会の進歩が加速する?
ザリガニを食べたいけれど、スマホも手放したくない。ネイルアートをしたばかりだから、ザリガニの堅い殻がせっかくのネイルを台無しにしてしまう。こういった人々に向けて、上海市黄浦区のレストランは先ごろ「ザリガニの殻むきサービス」を打ち出したというニュースがネット上を駆け巡った。この店は一部の客のニーズに応えるため、「殻むきスタッフ」として美人の女性店員を2人雇い、サービスの提供をスタート。「食べたいけれど面倒くさい」という客のニーズを満たすだけでなく、利用客はプライベートサービスを体験することもでき、話題性とサービスという点でいずれもメリットがある。さらには新たな雇用を創出し、店側の収益にもつながる。このようにいわゆる「ものぐさニーズ」は知らず知らずのうちに、確実に互恵・ウィンウィンのイノベーションモデルを生み出している。
冬の訪れとともに気温も下がっている今日この頃、金融コンサルティング会社勤務の郭さんは一緒にランチをまとめて注文するのがすでに会社の同僚たちとの恒例行事になっているとし、「外は寒すぎて、食事のために出かけるのがつらい。オフィスでデリバリーのものを食べれば時間の節約になるし、仕事も早く終わって、とてもいい」としている。こうした都市部のホワイトカラーたちが「なまけ病でデリバリースタッフがいなければ生きていけない」などとつぶやき、若者たちが「甘え病」患者となりつつある一方で、デリバリースタッフたちの収入が「ホワイトカラー並み」になっている点を軽視してはならない。また連れだって出かけて皆で過ごすランチタイムよりも、オフィスでランチをとれば仕事の効率も向上するため、このような新しいランチスタイルを喜ぶ企業の上層部も少なくない。
実際にここ数年、「ものぐさ経済」の誕生と発展により、メリットや効果が最もよく現れているのは外食産業だけでなく、クローゼット整理師やホームパーティの派遣シェフ、訪問理学療法士など、さまざまな新興職業も続々登場している。またそれとともに、スマートホーム製品やユニークで便利、実用的な雑貨などもネットワークプラットフォームを通じて大量に出回るようになっている。
郭さんが、「コンピューターを発明したジョン・アタナソフ氏が、『演算するのが面倒なので、コンピューターを発明した』と言っているように、今の社会のナマケモノは、学問で成果を上げた人や高所得者といったコツコツ型の『ナマケモノ』の可能性が高い」としているように、仕事や専門の学問に精力を傾けるため、余暇時間を効率よく利用し、休憩時間の効率と機能性を向上させようとする傾向がある。彼らのものぐさニーズは、常態化している時間と精力の浪費を解放し、社会の分業を促進し、新しい経済成長モデルを駆動することにつながる。
また艾瑞や易観などの市場調査機関も、「18年に中国国内の生活サービスO2O市場の規模は6千億元(9兆7794億円)を突破する見込み」と予想している。O2O市場を代表とする新興経済モデルが「ものぐさ経済」の鉱脈を掘り当て、消費高度化への巨大な変革を実際に後押ししたことは否定できない。
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