日本のソフトバンクグループ(SBG)の子会社の電気通信事業大手ソフトバンクが19日、東京証券取引所に上場したが、日本の株式市場ではまれな「初日の公開価格割れ」に陥った。この総額235億ドル(1ドルは約111.2円)に達する新規株式公開(IPO)は、日本の株式市場の歴史の中で最高額のIPOであり、また世界でも歴代2位のIPOだった。「中国証券報」が伝えた。
SBGは公開市場で調達した資金を、人工知能(AI)を含む科学技術投資に充て、新興科学技術などの成長分野の発展を後押ししようとしていた。だがアナリストは、「ソフトバンクの電気通信事業の成長の見通しは楽観できない。今後は科学技術投資のための持続的な輸血力という点で力不足に陥る可能性がある」と指摘する。
▽ソフトバンクが「公開価格割れ」に
ソフトバンクがIPOで調達した資金は2兆6500億円に上り、日本のIPOの最高記録を更新したとともに、2014年の阿里巴巴(アリババ)上場時の250億ドルに次ぐ世界2位となり、3位となった12年のフェイスブック上場時の160億ドルを大きく引き離した。こうした重量級の上場は広く注目を集めていただけに、初日の動きには失望が広がった。19日の値動きをみると、取引開始後すぐに2%下落し、最大で10%下落し、終値は1282円で、募集価格の1500円から約15%下落し、大幅な「公開価格割れ」となった。
メディアによると、これほど不調な上場初日の動きは日本の株式市場では珍しい。今年にIPOを行った企業82社のうち、初日につまずき、公開価格を割り込んだのはソフトバンクを含めて7社しかない。またここ数年の大型IPOのうち、初日に公開価格を割り込んだのは14年の日本ディスプレイだけだった。
アナリストの説明によると、ソフトバンクの上場は「タイミングがあまりよくなかった」。最近は世界的に株式市場が変動して下降トレンドにあるという要因だけでなく、同社は上場前にも「多難な冬」を経験していた。
日本の電気通信産業はこのところ政府の圧力を受けて相次ぎ通信料金を引き下げている。ソフトバンクはNTTドコモ、KDDIに次ぐ日本3位の電信企業で、ドコモは40%もの値下げを発表し、KDDIも具体的な値下げ措置を検討中といい、ソフトバンクは巨大な値下げ圧力に直面する。市場では通信料金の大幅な値下げが通信キャリアの業績に打撃となることへ懸念が広がり、日本の電信銘柄の株価はこのところ軒並み下落した。さらに日本のEC大手の楽天がこのほど携帯電話事業者の認定を受け、来年秋にもサービスを開始することになり、市場では産業が飽和状態になることへの懸念が増大している。
ソフトバンクは上場直前の重要な時期に通信障害問題を起こした。12月6日、ネットワーク通信に障害が起こって4時間以上も通話・通信が困難になり、日本全国に広がる大規模な通信障害に発展した。ソフトバンクはその後、障害の原因はエリクソン社製交換機に搭載されたソフトウェアにあったと説明したが、アナリストは、「この件が潜在的投資家の懸念を引き起こした」と指摘する。
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