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都市の地下共同溝を活用した日本の「植物工場」 

人民網日本語版 2019年01月23日10:14

日本各地で近年、内部環境をコントロールした閉鎖的または半閉鎖的な空間で植物を計画的に生産するシステム「植物工場」がにわかにブームとなっている。「植物工場」は、養液栽培を利用し、人工光を光源として植物を生育させる。農業用地の少ない大都市でも野菜を栽培できるのがメリットだ。筆者はこのほど、東京の中心から約30キロ離れた千葉県習志野市にある地下共同溝を活用した地下植物工場「幕張ファーム『ベチカ』」を取材した。人民日報が伝えた。

スチール製の階段を下りて、地下10メートルにある地下共同溝に入ると、まず目に飛び込んできたのがベルトコンベアで、それに沿って進んでいくと、閉鎖空間となっている野菜栽培エリアがある。ポリエチレン素材の透明のシートの向こうには、収穫を待つ野菜が植えられたトレーが置かれた棚が整然と並んでいる。

「ベチカ」がある幕張新都市の地下共同溝は1995年に建設された。元々は同エリアに高層ビルを建てる計画だったが、バブル崩壊の影響で景気が低迷したため、長年遊休化していた。その後、モーターローラメーカーの伊東電機が千葉県企業土地管理局と協力して、植物工場を設置し、2017年12月から自動型植物工場施設の実用化を目指す実証実験がスタートした。

伊東電機・植物工場開発部の岡田展明部長によると、工場は地上と地下の2エリアに分かれている。まず、地上施設でトレーに種をまき、30日間育てた後、モジュール化された苗のトレーをコンベアで地下に移動する。地下の工場の発光ダイオード(LED)照明調整や養液の供給などは全て自動で処理する。苗は地下工場で24日間育てられた後、再びコンベアで地上の施設に移動し、袋詰めして販売される。

他の植物工場との違いは、ベチカは世界初の全自動植物工場である点だ。地上の施設で行う種まきと最後の袋詰めなどの作業を除けば、トレーを地下に移動し、収穫できるようになった野菜を地上の施設に移動させるまでの全過程が全自動で、人手を必要としない。伊東電機は、自動化設備をさらに研究開発して増やし、できるだけ人手に頼らず、コストを削減できるようにする計画だ。

千葉県企業土地管理局の土岐健文副局長によると、共同溝に植物工場を建設すればさまざまなメリットがある。例えば、共同溝の気温は年間を通して18—22度と一定で、野菜の安定した栽培に適している。そのため、気温や湿度を安定させるための空調設備にかかるエネルギーコストを大幅に削減できる。また、ベチカは東京などの大消費市場に近いことから、物流コストも抑えられるほか、新鮮な野菜を届けることができる。そして、遊休化していた共同溝を使うことで、工場建設にかかる費用まで削減できる。

検証期間中は、野菜や食用花を試験栽培し、1日あたり200株を生産して、近くのホテルなどに出荷している。ベチカは20年には量産を開始し、22年には1日当たり5000株の生産を目指す計画だ。

岡田部長は、「生産量だけでなく、野菜の品質にもこだわっている。そのため、野菜をゆっくり育てて、食感をよくするために、毎日10時間消灯している。以前、東京の高級ホテルのシェフに、当工場で育てた野菜を食べてもらったことがあるが、好評だった」と説明する。

ベチカで生産された野菜の値段は、普通の野菜と同じだ。岡田部長は今後、ベチカで生産した野菜をブランド化し、付加価値を持たせたい考えという。消費者がスーパーで「地下植物工場産」と書かれた野菜を購入できる日もそう遠くないだろう。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年1月22日



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