「45分、延べ150万台、延べ2千万人」港珠澳大橋の開通後1年を振り返る

人民網日本語版 2019年10月26日13:47

所要時間45分、延べ150万台以上が利用し、延べ2千万人以上が大陸部と香港地区を往来した。伶仃洋に架かり、香港・珠海・マカオを結ぶ世界最長の海上大橋である港珠澳大橋(香港・珠海・マカオ大橋)が開通して、早や1年が経過した。新華社が伝えた。

香港特別行政区政府路政署(香港政府の道路管理部門)エンジニアの張旭氏はこの1年間を振り返り、「最も予想外だったのは、利用客がこれほどスピーディに増加したことだ」と感慨深げに話した。同氏によると、春節(中国の旧正月、2019年は2月5日)連休中、港珠澳大橋を利用して香港地区に入った大陸部住民は、1日あたり最高で延べ16万人近くに上った。現在も、1日あたり平均利用客は平日で延べ5万人、週末は延べ7万人という状況が続いているという。

今年3月末、港珠澳大橋の開通後5ヶ月の時点で、同大橋を経由して香港に入る大陸部旅客数は延べ1千万人を突破、同大橋の香港側出入境検査場は「1千万人級」出入境検査場の仲間入りを果たした。特区政府統計処のデータによると、現時点で、同大橋を経由して香港に入った大陸部旅客はすでに延べ2千万人を上回った。

港珠澳大橋は、香港・珠海・マカオの住民の心を互いに通わせ合う役割を果たしている。香港の経済学者・梁海明氏は、「大橋を利用する国内外の旅客はいずれも増加傾向にあり、これは、大橋が香港・珠海・マカオの住民同士の交流を促進していることを反映しているだけでなく、大橋の利用客の構造がさらに合理化されていることも示している」と指摘した。

この1年、出入境するバスとシャトルバスの乗客、通勤客、越境通学をする児童が大橋を渡ってきた。香港・広東直通バス協会の張剣平・秘書長は、「今年上半期、香港のバス会社は大活況を呈し、シャトルバスは10-15分おきに運行され、ハイシーズンには5分おきに運行された」と語った。港珠澳大橋管理局の統計データによると、これまでに、同大橋の料金所で出入境審査を受けた車は延べ154万台、1日あたり延べ4212台に達した。

大橋開通後、香港青年時事評論員協会常務理事である丘健和氏は、幾度となく珠海とマカオを観光や視察で訪れたが、越境バスで大橋を渡ることが、彼にとっての新たな選択肢となった。「大橋はスピーディで、出入境手続きもスムーズに進み、バス代も安く、途中の道のりも大変便利だ」と丘氏は言う。

丘氏はさらに、「深セン、東莞、恵州など粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)の東部都市と比べ、中山や江門など大湾区西部の都市、さらには広東西部地区全体の経済生産額は少なく、産業構造も脆弱だ。港珠澳大橋の開通によって、大湾区に対する香港の波及効果が高まり、現地と香港との往来が促進された」と指摘した。

港珠澳大橋は、香港・珠海・マカオを繋ぐだけではなく、大湾区のさらなる一体化に貢献した。香港中国商会常務副会長の陳亨達氏は、「大橋は、香港・珠海・マカオを結ぶ黄金のルートとなっただけではなく、大湾区内の物流ネットワーク接続やハイレベル人材の自由な往来も促進し、『大きさ』と同時に真の相乗効果を生み出した」との見方を示した。

特区政府運輸署は23日、港珠澳大橋大湾区配分計画を発表し、条件を満たす香港・マカオの越境自家用車が大橋を利用して香港・珠海・マカオを往来することを許可した。

香港の業界関係者は、港珠澳大橋を存分に活用するための提案・政策提言を続々と行っている。丘氏は、「今のところ、香港で認可される越境車両の割当数は限られている。大橋利用の予約システムを実施して、広東・香港ナンバー車両の大橋利用も段階的に認可していってはどうか。また、出入境検査関連施設の完備や周辺土地の合理化によって、『橋のたもと』経済も発展させていくとよい」との見解を示した。

「橋のたもと」経済とは、大型交通中枢の所在地という立地条件を利用して、優良資源を集めることを意味する。「一国二制度」研究センター研究総監の方舟氏は、「海路・陸路・空路・鉄道という複数の優位性を活用すれば、港珠澳大橋が『橋のたもと』経済を発展させるポテンシャルは巨大だ」としている。

方舟氏は、以下のように続けた。「大橋の出入境検査場や人工島エリアで、航空産業シティや科学技術パークの建設、コールドチェーン物流の発展だけでなく、大湾区交通大動脈を完成することも可能だ。港珠澳大橋と香港国際空港の直線距離は近く、空港快速線を大橋の香港側出入境検査場まで延伸することもできる。また、大橋から珠海・マカオに至る空港関連施設を完備し、大湾区内の多層交通ネットワーク構築を実現すれば、『橋のたもと』経済がより大きな相乗効果を発揮することができる」。

「この1年間は、港珠澳大橋にとって適応と慣れのための1年だった。今後、大橋は大湾区の磁石のような存在となり、各種資源の引き寄せる役割を果たすだろう」。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年10月26日

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