「謎宮」はどんな事件の謎を解く?
昨年リリースされた「謎宮·琳琅図集」は、乾隆36年に宮廷画家が起こした不正事件の謎を解く本だ。今度の事件は、清の第9代皇帝・咸豊の第8年(1858年)に実施された官僚登用試験・科挙の場で実際に起きた賄賂をめぐる史上最大の不正行為がベースになっている。
1858年9月、官僚登用試験の第一段階の試験・郷試の結果が発表され、平齢という人が7位で合格した。しかし、数日後、街中では平齢は役者で、芝居以外は何のとりえもないのになぜ合格できたのかといううわさで持ちきりとなった。規定では、役者は試験に参加する資格がなく、平齢が参加して合格できたということは、不正行為が確実にあったと見られた。それを知った咸豊帝は激怒し、徹底的に調査するよう命令。その結果、不正行為が行われた50以上の解答用紙が発見された。
「謎宮·琳琅図集」の製作に携わった故宮出版社・宮廷歴史編集室の王志偉室長によると、古代の官僚登用試験である科挙では、危険を冒してでもカンニングをしたりコネを利用して賄賂を贈ったり、替え玉受験をしたりするなど、不正をしてでも官吏になろうとする人が絶えなかった。そのため、科挙史を振り返ってみると、それは公平と不正、不正行為とその撲滅の闘争史でもある。
この政府や民間の間で激震を起こした大不正問題は、巨大な連鎖反応を引き起こし、試験官を務めた文淵閣大学士で軍機大臣の柏■(■はくさかんむりに俊)が賄賂を受け取っていたとして処刑された。彼は科挙をめぐる不正で処刑された官僚としては最も地位の高い人物だ。
読者が謎を解くのは、こんな歴史に残る大不正事件となる。