フィギュア市場が発展中 スマート化が発展の方向
日本アニメ産業の発展にともない、派生したクリエイティブ製品が暮らしのあらゆるシーンに入り込むようになった。特におもちゃ市場でそうした傾向が強い。同産業が生み出した豊かな資源が、おもちゃ産業にたくさんの創作のインスピレーションと市場のチャンスをもたらし、両者が密接に協力する産業共同体を形成した。
18年、日本のおもちゃ市場の規模は8398億円に達し、そのうちフィギュアやプラモデルなどを代表とする趣味性の高いおもちゃが1400億円を占め、最大のシェアを占めている。フィギュア市場は日本では年々強化されており、その背後にある主な要因としてアニメが消費者とフィギュアとの間で感情をつなぐ紐帯になっていることがある。日本の70後(1970年代生まれ)、80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)は小さい頃から漫画アニメに親しみ、大人になっても好きなキャラクターのフィギュアに強い愛情を抱き続け、フィギュア市場の支え手の中心となっている。彼らのこのような嗜好が次の世代にも影響を与え、フィギュア市場の安定的な成長を支えている。
「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親と呼ばれる富野由悠季監督は以前、「現在制作されているガンダムのアニメはフィギュアを売るためのもの」と述べた。フィギュアは漫画アニメの派生商品の1つとして、多くの場合は著作権所有者が製造するのではなく、著作権所有者とライセンス契約を結んだメーカーが製造し、著作権所有者はライセンス料を受け取る。しかし日本の一部の玩具メーカーは著作権を買い取るだけでなく、アニメの制作に主体的に関わり、オリジナル製品を開発するところもある。日本の老舗おもちゃメーカーの株式会社壽屋はこのような取り組みを進め、大きな成功を収めている。
フィギュア市場に影響を与えるもう1つの主な要因は消費傾向の変化だ。以前は米国系のフィギュアと日本系のフィギュアの棲み分けがはっきりし、市場の販売状況には強い地域性がみられた。しかしここ数年は、インターネット技術の発展によって、アニメの伝播する範囲が拡大し、フィギュア市場では「東西文化の融合」も見られるようになってきた。たとえば「NARUTO-ナルト-」は欧米で人気が爆発し、「ONE PIECE」はアジアの消費者に非常に人気がある。壽屋の清水浩代副社長は、「フィギュア市場の拡大では、第1に消費者に自分の目で見て、自分の手で触れることのできる機会をより多く提供する。今はネット通販の時代だが、フィギュアの実物を直接見たり触ったりできれば、消費者の購買意欲をより強くかき立てることができる。第2にこれまでのような顧客を男女に分けてそれぞれをターゲットとする開発理念をやめ、男女問わずみんなに好きになってもらえる魅力を備えた製品を開発する必要がある。第3に人工知能(AI)技術の発展にともない、フィギュアもスマート化を方向性として努力すべきだ」と話した。