日本の高齢者介護の新モデル 遠距離介護・介護シェアリング (3)

人民網日本語版 2020年01月22日11:29

効率の高い介護シェアリングモデル

介護の人手が不足し、募集をかけても集まらないというのが、日本の介護産業の抱える難題だ。原因は介護の仕事の大変さ、きつさ、賃金の安さなどにある。日本介護協会が16年に介護の資格をもつ人を対象に行った職業意識調査では、回答者のうち「フルタイム勤務を希望」とした人は57%にとどまり、26%が「仕事を探す時に最も重視することは勤務時間」と答えた。

こうした傾向に配慮して、東京に本社がある株式会社リジョブは老人ホームなどの介護施設でコンサルティングサービスや人材募集のサポートを行う場合、業務を特化して組み合わせるシフト管理を行い、介護者にかかるストレスを軽減し、介護施設の求人募集の効率と介護の効率を大幅に高めた。

同社の介護プロジェクトの責任者・花木敬浩さんは取材に答える中で、「弊社の介護施設への調査を通じてわかったことは、これまでの介護業務モデルにはいくつかの問題が広く存在するということだった。たとえば勤務時間には忙しい時間帯とそれほどでもない時間帯があるが、配置される人員は同じだった。またシフトは時間ごとに区切られ、スタッフはシフトに入ると医療行為の補助といった専門性の高い業務にも、話し相手、つきそい、清掃といった介護資格がなくてもできる業務にも責任を負わなければならなかった」と述べた。

花木さんは続けて、「リジョブが提供する介護シェアリングのプランでは、これまでの早番、遅番、夜勤といったシフト管理をやめ、業務の内容によって、送り迎え、入浴補助、調理補助、清掃、娯楽のつきそいなど9種類に分けた。短時間の業務、決まった内容の業務では介護人材にかかるストレスや求職者の懸念を緩和することができたし、施設側も未経験者を含む多様な人材を雇用することが可能になった」と述べた。

リジョブのアドバイスを受けて改革を進めた老人ホームは、スタッフの残業が減り、人件費は全体として低下し、応募者は改革前の2倍以上に増えたという。この施設で働く山下さん(40代)は、「第一線で働く介護職員として、この改革によって仕事のストレスと精神的な負担が軽減され、介護の質向上につながったと思う」と話した。

花木さんは、「一般的な介護施設では、介護資格をもつ新人スタッフは3ヶ月間の研修を経なければ一人前とみなされて各種の複雑な業務を処理することができない。しかし介護シェアリングモデルでは、1つの業務は一般的に1週間ほどで熟練して身につけることが可能だ。熟練したスタッフはより難度の高い業務に集中することができ、それに応じた賃金を多く受け取ることになる。収入が多くなれば、介護という仕事の専門性に対する認識も高まり、介護業界により多くの人材が集まるようになる」と述べた。

また花木さんは、「医療と科学技術の発展につれ、60代や70代の健康な高齢者が増えて介護サービスの中心的な担い手になるだろう。要介護者と年代が近く、共通の話題があり、どちらも居心地がよいのではないかと思われる」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年1月21日

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