「人生のバイブル」として「孫子の兵法」が世界中で人気に
中国春秋時代(紀元前770-476年)の武将で軍事思想家の孫武(そんぶ)は「戦略思想の父」とも称され、世界中で、軍事面だけでなく、政治や外交、経済、スポーツ、文化、生活などあらゆる分野に深く影響を与えている。英国の孫武研究学者は、孫武が書いた兵法書「孫子の兵法」の世界的な影響力は伝播、理解と切り離すことができず、伝播は翻訳と切り離すことができない、と述べている。中国国営の通信社「中国新聞社」のウェブサイトが報じた。
西洋諸国で、「孫子の兵法」は初め、中国語に精通した数少ない欧州の将校によって口頭で伝わった。そして1772年、フランスの神父ジョセフ・マリー・アミオがパリでフランス語版「孫子の兵法」を出版し、西洋諸国での発信の足がかりを作った。その後、ロシアや英国、ドイツでも相次いで翻訳版が発表された。
特に1905年に、初の英語版「孫子の兵法」が英国で発表され、英語を公用語とする各国にも広まった。その後、西洋諸国では、長期にわたって「孫子の兵法」ブームが続いた。
1910年、ドイツ語版の「兵法――中国古典軍事家論文集」がベルリンで出版された。また、ソビエト連邦占領地域だったドイツ民主共和国(東ドイツ)もその後、中国語から翻訳したロシア語版を基にドイツ語に翻訳。東ドイツ軍の軍事学校の教材としても用いられた。そのほか、さまざまな言語の「孫子の兵法」が次々に発表された。この広くて深い思想と時代を超越した哲理を記した兵法書は、翻訳によって理解を得、伝播によって好評を博してきたのだ。