世界に広がる中国の「春節」
はっきりと目に見える訳ではないが、春の気配がかすかに芽吹き、蛇年春節(旧正月)がだんだんと近づいている。中国さらには世界中が共に喜び祝う、盛大な「お祭り」の本番も近い。(文:沈興耕・本紙上級編集者。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
もちろん、中国で最大の祝日である春節は、最初は中国民族だけのものだった。4千年以上の長い歳月をかけて、春節が広がり、受け継がれ、移り変わり、発展するプロセスで、核心的な価値--祖先の霊を祀り、一族が仲良く集い、血縁を大事にすること--が形成された。一連の基本的な行事が確立し、さらには、時代に伴う変遷が繰り返された。「臘八粥(八種類の穀物で作った粥)」を食べる、かまどの神を祭る、大掃除をする、春聯を貼る、ランタン(灯篭)を灯す、家族揃って団欒の食事をとる、大晦日は徹夜をして新年を迎える、年始廻りをする、爆竹を鳴らす、竜灯踊りを踊るなど、これらの風習全てが、中華民族十数億人の血と深く混ざり合い一体化している。
しかし、春節は、中国のものであると同時に、世界のものでもある。その第一の理由は、極めてユニークで強烈な特徴を持つ事象は、世界中から注目を受けやすいことによる。自分と全く同じ行動をし、同じような顔つきをした人間に対して、強い興味を覚える人などいない。2番目の理由は、この世界は本来、バラエティに富んだ異なるキャラクターを持つ個人の集合体であり、没個性から共感は決して生まれないという事実による。祝日文化を含む文化、特に中国の伝統文化の中でも代表的な意味合いを持つ春節も、むろん例外ではない。