計画出産政策の緩和で何が変わるのか
夫婦の片方が一人っ子の場合、第2子出産が認められるようになると、中国の経済社会発展にどのような影響がもたらされるのだろうか?膨大な数の家庭にどのような変化が生じるのだろうか?17日に開催された「人口学界が学ぶ第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)精神座談会」において、専門家がこの問題をめぐり、様々な意見を提出した。新華網が報じた。
○生産年齢人口が増加
首都経済貿易大学労働経済学院の童玉芬・副院長は、「単独二胎」政策(夫婦のいずれかが一人っ子である場合には、2人目の出産が認められる政策)の実施に伴い、今後15年間で、労働力総人口は年2800万人増加し、2050年までに労働力人口の減少幅は3ポイント低下するだろう」との見通しを示した。
童副院長は、「仮に計画出産政策が引き続き緩和されない場合、中国の労働力人口は年811万人減少する。一方、『単独二胎』政策が導入されると、この数字が760万人前後となり、労働力需給のアンバランス問題は、今後大いに改善される。特に、中国で労働力人口が大幅に減少する転換期となるのは2025年から2030年頃と予想されることから、今が計画出産政策を見直すベストタイミングだ」と続けた。
○高齢化の加速がややスピードダウン
国家衛生・計画出産委員会の王培安・副主任は、「中国は、世界でも高齢化スピードが最も速い国家のひとつだ。2012年の時点で、60歳以上の人口は総人口の14.3%を占めるに至った。この割合は、2030年には25%前後に達し、2050年頃には高齢者人口のピークを迎え、4億4千万人に上り、総人口の3分の一を占める見通しだ。人口の年齢構造を改善する上で、計画出産計画を見直すことは極めて意義が高い」とコメントした。
南開大学人口・発展研究所の原新・教授は、「『単独二胎』政策の実施により、高齢化率を、2030年に23.8%(計画出産政策継続の場合は24.1%)、2050年には32.8%(同34.1%)、2100年には34.3%(同39.6%)にそれぞれ引き下げることが可能だ」と指摘した。
○新生児の男女比率が平衡化
中国では、新生児の男女比アンバランスが長い間続いている。1994年以来、115:100以上が続き、2004年には121.2:100に達した。2009年以降差はやや縮まっているが、2012年の時点においても117.7:100と、まだかなり偏っている。
原教授は、「自然な出産環境のもとでは、多産は、新生児男女比のバランスを取るための唯一の方法だ。『単独二胎』政策が実施されることで、新生児の男女比が必ず正常に戻るとは言えないが、アンバランスは多少なりとも是正されるだろう」との見方を示した。
○家庭の発展力が上昇
中国の世帯あたり人員は、減少の一途を辿っており、1982年の4.43人から2010年には3.10人にまで減少した。だが、独居老人世帯の割合は、ある程度上昇している。中国では、「子どもが1人」の世帯が1億5千戸を上回り、「失独家庭(一人っ子に先立たれた家庭)」という特殊な世帯が登場した。結婚・出産・老後生活といった家庭が持つ伝統的な機能がかなり弱まり、リスク防止力も低くなった。
中国人口学会の常務副会長を務める中国人民大学社会・人口学院のテキ振武・院長は、「『単独二胎』政策によって『4-2-1(親4人、夫婦2人、子供1人)』の家族構成が崩れることは、家庭が経済社会機能を発揮にする上で有益に働き、リスクに対する家庭の抵抗力アップにも有利で、子供の教育上においても望ましい」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年11月18日