故宮博物院は15日、国内初となる「世界文化遺産モニタリング年度報告書」を発表した。モニタリングの対象となったのは、文化財の所蔵状態や入場者数に関する状況のほか、大気の質の状況、蟻などによる病虫害状況など。故宮博物院の単霽翔院長は、「入場者モニタリングシステムの導入運用にともない、今年後半には『無料開放デー』の試行に踏み切る可能性が高い。また、年末までに、館内の混雑状況に関する情報を携帯電話で確認できるようになる」と話した。北京晨報が伝えた。
○携帯電話で混雑状況のチェックが可能に
単院長によると、故宮博物院の入場者はこの10年で、年間延べ700万人から述べ1500 万人になり、ほぼ倍増したという。博物院の負担軽減のため、館内の混雑緩和は、一刻の猶予も許されない最優先課題となっている。
故宮博物院は今後、複数の入場者用出入口の上方に2次元レーザースキャナを2台ずつ設置し、来場者のレーザー計測データをリアルタイムで収集する。いずれか1つのモニタリングポイントで入場者数がキャパシティ上限に近づくと、混雑による突発的事故の発生を予防するため、モニタリングシステムから自動的に警報が発せられる仕組みだ。
単院長は、次の通り説明した。
エリアごとの来場者数を正確に記録することによって、▽精密な入場制限の実施▽時間ごとの入場制限▽効率的な入場者の動的モニタリング――に対して、科学的なデータが提供される。それらのデータは、方針決定のための有力な根拠となる。また、入場者は今後、携帯電話を通してこれらの情報をリアルタイムに入手することができるようになり、来場者が集中するエリアを自ら回避することが可能となる。「無料開放デー」の実施など、観光客がピーク時以外の日に訪れるよう促進するための具体的措置については、今年下半期にタイミングを見計らって試行する計画だ。