月探査機「嫦娥5号」は2017年の打ち上げを予定しており、中国の無人月探査プロジェクトの第3ステップ「帰還」を実現する。中国航天科技集団公司第5研究院科学技術委員会顧問、中国宇宙科学・深宇宙探査首席専門家の葉培建設氏は14日、院士・専門家の報告会に出席した際に、「中国の帰還型衛星や、宇宙船『神舟』とは異なり、嫦娥5号は新型の帰還方法を採用する」と発表した。科技日報が伝えた。
葉氏によると、嫦娥5号は中国の新型探査機で、長征5号ロケットにより海南発射場から打ち上げられる。同探査機は軌道モジュール、着陸モジュール、上昇モジュール、帰還モジュールの4つの部分によって構成される。この4つのモジュールは月周回軌道で2つと2つに分かれる。軌道モジュールと帰還モジュールは軌道上に残り、着陸モジュールと上昇モジュールは月面着陸する。着陸モジュールは二つのロボットアームにより月面、およびドリルで開けた穴からサンプルを収集し、これらのサンプルを上昇モジュールの容器に収納する。それから上昇モジュールは月面を離陸し、軌道モジュール・帰還モジュールとドッキングし、サンプルを帰還モジュールに移してから切り離される。軌道モジュールと帰還モジュールは合体したまま帰途につき、第二宇宙速度に近い速度で地球から数千キロに迫ってから分離する。最後に帰還モジュールが予定した着陸地点に着陸する。葉氏は、「嫦娥5号の帰還の成功を保証するため、中国は今年嫦娥5号の実験機を打ち上げ、軌道モジュールと帰還モジュールの月周回と帰還の全過程を検証する」と述べた。
月探査の他に、葉氏は多くの宇宙事業関係者に、より長期的な夢を持つよう呼びかけた。周回・着陸という二つの手段による火星探査、伴走・付着による小惑星探査、周回・大気中漂流による金星探査といった構想について、中国はすでに一定の技術力を持っているが、国家からさらなる支援が必要になる。葉氏は、「我々は将来的により多くのことに取り組まなければならないが、実力がなければこれは不可能だ。宇宙事業の今後数十年の発展に影響するのは、量子・電子・情報・通信・材料などの技術だ」と指摘した。研究者は15の分野、約50の方向性、約200種の技術を列挙し、今後数十年間の技術発展を目指し、未来の宇宙事業構造を予想している。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年5月16日