ミセス・ワタナベの動きは投機である以上、リスクゼロということはあり得ない。その急進的な投資行為はかつて中南米で「ワーテルローの戦い」に直面したことがある。1990年代、アルゼンチン政府が円建てのサムライ債を発行したことがあり、ミセス・ワタナベはこれをせっせと買い入れた。だが01年にアルゼンチン経済は崩壊し、政府は国債デフォルト(債務不履行)を宣言し、ミセス・ワタナベの損失は元本・利益合わせて約15億6千万ドル(約1627億円)に上った。その後長い間、ミセス・ワタナベは中南米という「チャンスに溢れた土地」を敬して遠ざけるようになった。ところが米国が金融危機に見舞われると、中南米経済が相対的に安定していることから、ミセス・ワタナベのような日本投資家たちは思いがけない高いリターンを手にすることになった。
現在、外部ではこのような見方が出ている。ブラジルの金利引き上げの周期は終わりに近づいており、脆弱な国内の製造業、初級製品の輸出に頼りすぎる経済構造により、ブラジル政府は国内の経済成長を喚起する新政策の推進を改めて考えなければならなくなった。だがブラジルでは今年、大統領選挙があり、ルセフ大統領の政府は高止まりするインフレの抑制に引き続き力を入れざるを得ない。レアルが上昇するか低下するか、金利が上昇するか低下するかは、ブラジルが目下の経済モデル転換でどれくらい遠くまでゆけるかにかかっている。レアル債権を大量に抱えたミセス・ワタナベにとっては、これからも結末の読めない冒険が続くことになるとみられる。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年1月24日