情報化がますます進む中国では「スマートディスプレイ時代」を迎え、スマートフォンやタブレットPC、3Dテレビなどの商品の人気がますます高まっている。これに商機をみた多くの地方政府が争うように優遇政策を推進し、パネルディスプレイ産業パークを建設するとともに、各関連企業が巨額の資金を投資し、次々と大型プロジェクトを立ち上げている。新華網が伝えた。
中国の大手家電メーカー、TCL集団傘下の液晶パネルメーカーで、TV用パネルで世界的シェアを誇る深セン市華星光電技術(華星光電)は28日、湖北省科技投資集団と共同で湖北省武漢市東湖高新区に小・中型ディスプレイパネル向けの研究開発・産業基地を設立した。投資総額は160億元(約2611億2000万円)に上る。これは、湖北省では近年最大の工業プロジェクトで、非現地企業としては、初期投資額の記録を塗り替えただけでなく、GMやレノボの投資額を抜いた。
TCL集団と同様、多くの企業が相次いでディスプレイパネル用の生産工場を新しく建設している。フラットディスプレイパネルの大手メーカー、京東方科技集団(京東方)は資金457億元(約7458億2400万円)を集め、前後して重慶やオルドス、合肥などに次世代液晶パネル生産工場を建設した。これも、同様に小・中型ハイエンドディスプレイパネルに照準を定めている。
中国では、フラットディスプレイは国家戦略として指定された新興産業で、2015年までに大陸部で9本の8.5世代液晶パネル生産ラインを建設し、台湾を抜いて世界第2のフラットディスプレイ生産基地になる計画を立てている。
中国工業・情報化部(省)のデータによると、2013年、液晶パネルを代表とするフラットディスプレイパネル産業の規模は1070億元(1兆7462億円4000万円)に達し、前年同季比44.6%増となり、世界市場占有率は11.4%にまで上昇した。
高騰する企業の投資熱に呼応して、中国の地方政府の意欲も刺激されている。重慶市両江新区は現在、フラットディスプレイパネル産業クラスターを建設しており、すでに関連企業15社が入居している。中部地区に位置する合肥市も同産業に注目しており、現在、生産額が1千億元級の産業クラスターを建設中だ。
実のところ、フラットディスプレイパネル産業は決して新興産業ではない。すでに十数年前に、広東省、江蘇省などで多くのディスプレイパネル企業が出現している。しかし、数年の年月を経た2010年から衰退傾向が顕著になり始めた。統計データによると、2010-2012年のわずか3年間で、ディスプレイ産業の川上産業であるLEDチップ生産能力が10倍以上に拡張したのに対し、単価は累計で50%以上引き下がり、多くの企業が非常に苦しい状況に陥った。