水は人々の生活の中で最もありふれた物質だ。しかし水の神秘について、人類はまだ多くの謎を解き終えていない。例えば中学校の教科書を開くと、水は二つの水素原子と一つの酸素原子によって構成されているが、水分子はどのような形をしているのだろうか?いかにして水分子が形成されているのだろうか?生命の源である水の独特な水素結合構造について、科学者はこれまで明らかにしていない。これらはすべて、解かれていない謎だ。人民日報が伝えた。
北京大学量子材料センター、量子物質科学協同革新センターの江穎氏の研究チームと王恩哥氏の研究チームは、水科学分野で共に重大な進展を実現し、水分子の内部構造の撮影に初めて成功した。これにより、実験において水の水素結合構造を直接解析することが可能になった。この研究成果の全文は1月5日に、世界的な権威ある科学誌「ネイチャー・マテリアルズ」(ウェブ版)に掲載された。
◆水の特徴の利用と変更が可能に
ありふれた一滴の水には、無数の水分子が存在する。それでは、これらの水分子はどうして一体化し、私たちの目に見え触ることのできる水に変わったのだろうか?中国人科学者が水分子を撮影した際に、この点についても重要な発見があった。科学者らはこれまで、水分子と水分子は水素結合によって結びついており、水素結合の構造と方向性が水の多くの特徴を形成していることだけを知っていた。いかに水の水素結合構造をミクロレベルで確定するかは、水科学分野の重要な課題の一つだ。仮に水分子の内部構造と空間を撮影できれば、実験の中で水の水素結合構造を直接解析することが可能になる。これは多くの科学者が夢にまで見たことだ。中国の科学者は単一の水分子の構造を撮影したほか、4つの水分子によって構成される水クラスターを撮影した。高分解能の軌道画像により、水クラスターのミクロ水素結合構造の解析に成功したのだ。また水分子が水素結合により結びつく時に、一定の方向性を持つことが明らかになった。第一原理計算により、研究者はこれまで報じられていた塩表面の水クラスターはいずれも最も安定的な構造ではないことを突き止め、新たな四量体吸着構造を発表した。
水分子の内部構造がどのようになっているか、水分子と水分子はいかに結合するか、水分子は異なる固体の表面でどのような変化を見せるか?中国人科学者が実施したこれらの研究は、人々が水の特徴を利用・変更する一助となり、現実生活で幅広く活用できる。
研究チームの関係者は、「人々が注目しているPM2.5は、本質的には一つのミクロン(1000分の1ミリメートル)級の粉塵だ。大気中の重要な凝結核であるため、その表面は水に覆われている。上述した研究により発展させた水分子高分解能画像化技術を利用し、例えば異なる種類の粉塵の表面を覆う水のミクロ構造を解析した場合、環境科学者を啓発し、研究の一助となる可能性がある。科学者はこれにより対策を講じ、化学的もしくは物理的な手段を講じ、粉塵表面の水蒸気の凝結を強化する、もしくは粉塵間の結合を促すことで、PM2.5の粉塵を直接地面に落とすことができる」と説明した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年1月16日