2014年6月19日  
 

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カメラマン・佐渡多真子さん「日中間のイメージのギャップを写真で埋めていきたい」 (6)

人民網日本語版 2014年06月12日16:42
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写真提供:佐渡多真子さん

―――― 佐渡さんの目に映る中国の魅力はどこにあるんでしょうか?

 中国の法律は人に優しくないですが、中国人は人に優しいところでしょうか。中国の法律は、人権ということに関しても、日本に比べたら優しくないですよね。また、交通でも車優先ですし、街も、地下道を通らないと道を越えられない場所があったりと、人のことを優先的に考えられて作られていません。でも、中国人は明らかに日本人より友人に関心を持っているし、優しいと私は思います。

 中国語がまだそんなにわからないときに、市場に買い物に行くと、よく知らない叔母さんがどなってくるんです。でも、何を言っているかわからない。また、市場に行くと、同じようにおばちゃんがわーっとどなってくる。それがある時、聞き取れるようになると、「あなた、かばんを閉めとかないと、財布をすられるわよ」と毎回助言してくれていたんです。電車やバスの中でも、子供や老人、妊婦さんのために誰かが必ず席を立ちますよね。そんな温かみや人間関係の近さが好きだったんですけど、中国もすごいスピードで変化していて、今ではかなり状況が変わってしまいました。

 今では、みんなゆっくり時間をかけて餃子なんて作らなくなってきましたし、中国都市部に住む30歳ぐらいの中国人男性を何人か取材したことがありますが、全員プレッシャーを感じていて、中国は以前に比べて確かに便利にはなったけど、10年前のほうが絶対に幸せだったと言ってました。やはり、インフレや住居ローン、子供の教育費といったプレッシャーが大きいようです。オリンピック前ぐらいまでは、ドラスティックに前進していくエネルギーを感じていましたが、今は、都市部ではみんな疲れていて、そのエネルギーも少し弱まっているように感じます。

―――― 確かに中国の変化はめまぐるしいですよね。でも、それでも佐渡さんが北京にい続ける理由はなぜなのでしょうか?

 ここにいる意味ということで言うと、日中間の情報不足による、双方の誤解や偏見などをなんとかしないと危ないのではないかと思っているところがあります。たまたま長く中国にいることになり、自分の目で見たものが、自分の親や友人が見ているものと違うことに気付いてしまったので、何か仕事と結びつく形でそのギャップを埋められたらいいなという使命感のようなものを感じています。

 昨年も行ったのですが、今度、人民大学や桜美林、大東文化大学などでスライド上映を行う予定です。内容は、私がAP通信に撮っていた報道的な作品と全日空さんの仕事などで撮っている美しく情緒ある広告・商業作品の両方を紹介して対比させるものです。中国には、広告的に見るとこんなにきれいで素晴らしいものがいっぱいあるのに、ニュースとして撮ると、マイナス要素に溢れています。PM2.5問題で空気が悪いから、渋滞の様子を撮る。貧困問題を扱うので、物乞いの人がたくさんいる様子を撮る。同じカメラマンが撮ったものなのに、このカメラマンは分裂症じゃないかと思うほど、そこにはまるで違う中国が写っています。見る角度によって中国はこんなにも違うのです。それもあって、それらを対比したスライド上映を若い学生さんとかに見せたいと思っていて、機会があれば、どんどん行うようにしています。

―――― スライド上映での学生の反応はどういうものだったのですか?

 昨年桜美林大学で行ったときは、学生さんもお腹が一杯の昼休み後でしたが、誰一人寝ることもなく、熱心に見てくれて、担当教授が「俺の時は半分ぐらい寝ているのに」と驚かれていました。かなり好評だったみたいで、今年もまた依頼されました。一昨年10月頃で、ちょうど島の「国有化」問題で、9月半ばに大規模なデモが起きた直後でした。ジャーナリズム学科の授業だったので、仕事中心の話をしたのですが、その中でデモが起こっている時期に私が中国で実際に経験したことを学生に話しました。

 その頃、日本人がよく乗車拒否に遭うという話を聞いていたので、タクシーに乗車する前に私は日本人ですけど乗っていいですか?と聞いていたのですが、誰一人としてNOと言う人はいなくて、「当然です。僕の仕事はお客さんを安全に目的地に運ぶことです」と言ってくれた話や、ラテンダンスを習っているクラスで、こんな時期に日本人がダンスを踊っていたら反感を持たれるだろうな、と思いながらも、まてよ、彼らの反応を自分で勝手に決めないで、彼らがどういう反応をするのか自分で見てから、もし、帰れと言われたら帰ってくればいいのではと思い、参加してみました。すると、みんな駆け寄ってきてくれて、「大丈夫なの?」とすごく心配してくれたり、中でも若い中国人女性がなぜ中国はこんな暴力的なことをするのか?と言って涙を流していたので、逆に私の方がこれは中国の一部の人だけだと励ましたというエピソードなどです。


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