このところ、「地方政府の債務リスクは一触即発の状態にある」とか、「中国の地方政府に破産の可能性がある」とかいった、地方政府の債務問題に関するさまざまなうわさが聞こえてくる。財政部(財務省)の王保安副部長はこのほど行われた全国財政科学研究政策会議の席で、今年は地方政府にかかる債務償還圧力が最も重くなる年で、地方政府の債務リスクに対し社会各界が再び懸念を抱くようになったと述べた。人民日報が伝えた。
▽規模はどれくらい?
地方政府の債務残高は17兆8900億元(1元は約16円)で、そのうち元本の償還と利子の支払いに直接責任を負う債務は10兆8900億元だ。
地方債務はどのように形成されたのか。中国人民大学の趙錫軍教授の見方はこうだ。地方債務を形成した主な原因は資金不足だ。長期にわたり、中央政府と地方政府との間の職権の区別は曖昧で、支出項目の多くを中央と地方が共同で担い、中央からの財政移転では不足を完全に補填することができず、地方政府の支出責任は往々にして運用可能な財力を上回り、債券を発行してやりくりするしかなかった。
財政部財政科学研究所の賈康所長は、「資金不足がもたらした債券発行圧力に対処するだけでなく、多くの(地方)政府が主体的に債権を発行する動きもみせた」と指摘。投資には国内総生産(GDP)を直接牽引する役割があることから、業績を一層向上させるため、末端の政府組織の多くが自ら債券を発行して投資を拡大し、発展を加速させようとしたのだという。
地方政府の債務はどれくらいの規模だろうか。最も確かなデータは審計署(監査部門)が行った3回にわたる監査のデータだ。
第1回の監査は2011年3月から5月にかけて行われ、同署は全国の省・市・県という3つのレベルの地方政府の債務状況について全面的な監査を行った。10年末現在、地方政府の債務残高は10兆7千億元だった。