第2に、安倍氏は第2次政権発足以来、「長期政権」になると自信たっぶりに言っている。だが「長期政権」になるには高支持率を長期間維持しなければならず、高支持率を長期間維持するために極めて有効な方法が経済成長、雇用、医療、育児など様々な社会保障措置の「目に見え、実感することのできる」実益を有権者に与えることであり、経済成長が緩慢で、失業率が増加し、社会保障措置がしっかり実行されず、「希望」を見いだすことができなければ、有権者は少しの遠慮もなく首相を「捨てる」ということを、意外にも知らないようだ。
アベノミクスの第1、第2の矢は今のところまだ有効と言えるが、第3の矢「経済財政運営と改革の基本方針」こそが最も命中困難な矢だ。第3の矢の重要な内容の1つは労働力市場の振興、つまり女性の就業率を高め、ハイレベルな海外人材の受け入れを拡大し、より柔軟な労働環境を提供することだ。だが労働力市場の振興は、日本では「言うは易く行うは難し」だ。難しい点として以下が挙げられる。女性の就業率を高めることは、ある根本的問題に関わる。つまり、日本の人口は元々高齢化が深刻であり、数多くの女性が就業すれば、「育児」という難題が伴う。育児という難題は解決困難であり、日本の「少子高齢化」問題は深刻化する一方だ。そして少子高齢化問題が深刻化するほど、日本経済の完全な景気回復の時期はさらに遅れる。また、ハイレベルな海外人材の受け入れを拡大すれば、元々狭い日本の就業市場を圧迫するのではないか?就業率を効果的に高めることができなければ、消費につなげることは困難であり、「首相はわれわれに仕事の機会を与えられない」と考えた有権者は当然首相を支持することを止め、支持率はどんどん下がり、「長期政権」という安倍氏の夢は潰える。
第3に、安倍氏が力強く推し進める集団的自衛権の行使は、安倍氏個人の「政治的虚栄心」を満たすだけで、日本の普通の民衆には何ら実質的利益をもたらさない。日本の普通の民衆にとっては、平和な社会環境下で平穏な暮らしを続けることこそが最大の目標だ。第2次大戦の前と後の日本の歴史の対比が証明するように、好戦的でみだりに武力を用いれば、最終的に破滅がもたらされるだけであり、平和的発展の道を歩めば経済繁栄へと向かう。日本の普通の民衆はこの簡単な理屈を理解できるはずだ。
最近日本国内で巻き起こり続けている安倍内閣の集団的自衛権行使容認への抗議のうねりに、その一端が見える。東京の街頭で普通の抗議者が手に掲げたプラカード「集団的自衛権は子々孫々の命を害する」のように、安倍氏が集団的自衛権の行使を容認し、海外で兵力を用いる「天子の宝剣」を手に入れれば、最大の被害者は日本の普通の民衆であり、「砲火の餌食」にされるのは日本の普通の民衆の「子孫」だ。
もし「長期政権で、歴史的評価の高い」首相になりたいのなら、安倍氏は日本の普通の民衆の声に耳を傾けるべきだ。「軍備を止めて文治に力を尽くす」が日本が現在と今後従うべき唯一の光明に満ちた道だ。もし普通の民衆の声に耳を貸さなければ、安倍氏は普通の民衆からの評価が下がるだけであり、「安倍氏の暴走」は「安倍氏の暴落」となる。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所学者)(編集NA)
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「人民網日本語版」2014年7月1日