2014年7月10日  
 

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小型外傷治療器が開発、酸素の力で完治を促進

人民網日本語版 2014年07月10日13:14

傷の完治は外科医が直面する難題であり、外傷を負った患者に苦しみをもたらしている。資料によると、中国の病院の外科に入院する患者のうち、完治が難しい慢性の皮膚損傷や潰瘍の入院治療が必要な患者は全体の1.5%を占めている。そのうち糖尿病性潰瘍が36%を占め、10年前の6倍に増加している。科技日報が伝えた。

上海交通大学が7月9日に発表した情報によると、燃料電池研究所の曹広益教授、胡鳴若准教授の研究チームはコンパクトな「外傷治療器」を開発し、臨床実験において多くの患者に福音をもたらした。携帯電話と同じ大きさの同装置の一端を外傷につなげるだけで、その完治を促すことができるという。この治療器は外傷治療の新たな歴史を切り開く可能性がある。

この発明は、実験中の偶然の出来事によってもたらされた。ある技術者が燃料電池の操作を誤り、電池から微量の気泡が出てきた。この何気ないミスによって生み出された気泡は、胡准教授の注意を引いた。胡准教授は分析により、この微量な気泡が高純度酸素であることを確認した。この高純度酸素は、さまざまな場面で活用できる(高圧酸素室での火傷の治療など)。この偶然の出来事が、革新の発端となった。胡准教授、曹教授は、微量の酸素を生成する小型治療器を外傷の患者に使い、24時間連続で治療を続けるという新たな構想を発表した。この酸素治療技術ならば、治療効果を最大限に発揮できる。

研究チームは記者に対して、「科学者は早くから、表皮の外傷の治癒には一定の酸素が必要であり、95%以上の純度の高い酸素が最も適していることを証明していた」と説明した。同チームは5世代に渡る開発により、携帯電話サイズのコンパクトな治療器を発売した。この治療器は携帯可能で、1時間おきに3mlのペースで、外傷に95%以上の濃度の酸素を供給する。これにより外傷の面積と同じ「局部酸素室」を形成し、外傷の湿度を保つことができる。臨床実験によると、慢性の外傷に対して高い治療効果を発揮した。一般的な高圧酸素室は体積が大きく、酸素の濃度が21%のみと治療効果が限られていたが、同治療器はこの弱点を克服した。

外傷治療器はすでに5世代、4シリーズまで開発されており、12件の特許を取得した(そのうち3件は国際特許出願済み)。さらに2014年3月下旬には江蘇省食品薬品監督管理局の許可を得て、「市場進出許可証」を取得した。同治療器は現在、江蘇省、上海市、広東省、山西省の各病院で使用されている。

「微酸素医学」はまだ新しい概念であるが、研究チームはこれによる外傷の治療に自信を深めている。各種原因による大きな外傷の他にも、同治療器はさまざまな場面で効果を発揮するだろう。(編集YF)

「人民網日本語版」2014年7月10日

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