中国のパソコンメーカーLenovoのパソコンを選ぶ顧客。日本家電市場に参入したLenovoはソニー最大の競争相手となった。
ソニーから分離したパソコンブランドの「VAIO」が1日、日本の投資ファンド「産業パートナーズ」による運営をスタートした。新会社は同日、新たな3モデルを発表した。人民日報が伝えた。
パソコン業務を手放すことになったソニーは、その年度報告でも厳しい数値が並んでいる。2013年度連結決算の最終損益は1283億円の赤字で、売上高の7割以上を占めるエレクトロニクス部門は連続10年の損失を計上。かつては技術革新をリードしたソニーがここまで落ち込んだ背景はいったい何なのだろうか。
▽技術ばかりを追求し市場ニーズを理解しなかった「エンジニアカルチャー」
アジア開発銀行研究院の邢予青・研究員は、ソニーのパソコン業務での失敗は「必然」と見ている。日本はCPUやOSなどのコンピューターのコア技術を持たず、製造コストでの優位性もない。さらにインターネット時代に入って以来、日本の電子産業には「革命的」と言える製品は見当たらなくなっている。
ソニー出身でVAIO社長に就いた関取高行氏は記者会見で、「ユーザーの求める性能とデザインを追求すると同時に、コスト意識も保っていく」と語った。日本国内のハイエンド市場をターゲットに、2015年度の販売台数30万台から35万台を目指す。
アップル創業者のスティーブ・ジョブスはかつて、小型で精巧な大容量のメモリーを世界で探し求め、最後は日本にたどり着いたという。高い技術を持つ日本が、市場のヒット商品を生み出せずにいるのはなぜか。邢氏によると、日本のエレクトロニクス産業の技術は確かに優れているが、技術の極致を追求するばかりで市場の真の需要を知ることに長けていない日本企業の「エンジニアカルチャー」が足かせになっている。ソニーは3Dテレビで挽回をはかろうとしたこともあったが、メガネをかけてテレビを見るというコンセプトは受け入れがたい。日本の電子製品は機能過剰な物が多く、日本以外の消費者には歓迎されていない。
邢氏も最近、日本メーカーの高級カメラを買ったが、操作があまりにも複雑で使いにくいことに気付いた。「日本人のように100ページもある説明書を読み切れるユーザーは世界にはいません」
▽過度の業績重視と販売数の優先で革新能力が低下